トップページサックスセルマーSERIE3

シリーズ3のサウンド傾向
シリーズ2のサウンドと比較してみると、ミディアム位の音量での演奏時に大きな違いが出ました。一言で言うとjazzの表現がしやすいな!と言う感じです。わりと裏にビート感を出すためのタンギング、(ウタウタウタみたいなタンギングです。)がシリーズ2よりも立ち上がりが良く、歯切れが良い印象でアーティキュレーション、タンギングの違いが音量、音質、音色変化に対してシリーズ2よりも反応しやすい傾向を持っているようです。なんとなくマーク6に雰囲気が似ています。
シリーズ2のほうはサウンドの芯のようなものや、フルパワー時での力強さを持っていますが、シリーズ3と比較するとちょっとしたタンギングやアーティキュレーションの小細工での音色の変化がやや乏しいようです。ですからシリーズ2はコシのある太く安定したサウンドを求めるクラシック系やパワーをより求める演奏に向いていると思います。
シリーズ3はやはりジャズの演奏に重点を置きたい方にお奨めかなと思いますが、いかがでしょうか?

シリーズ3とシリーズ2の部分的な違い。
ネック

まずはネックのリードパイプ(マウスピースを取り付ける所)の内径がシリーズ3がノギスで計測したところ12.4ミリ、シリーズ2が12.15ミリでした。シリーズ3の内径が大きく音抜けを良くする工夫が見られます。またネックプレートを貼らずに仕上げてあり重量もシリーズ3が105グラム、シリーズ2が125グラムと質量の違いもあります。この辺がかなりサウンドの傾向を変えている要素となっているようです。

パームkey
左手の手のひらで操作するキーがシリーズ3はかなり小振りになり、替え指を使ってのhigh DからE.F.F#.Gとフラジオにつなげるフィンガリングの際にスムーズな動きが可能でした。しっかりした音程で正式な指使いでの演奏はシリーズ2くらいのサイズがあったほうが良いのかもしれません。

テーブルkey
左手小指で操作するテーブルkeyが小振りになりはやいパッセージがやりやすいなと感じました。

low C.Eb key
これも小振りになっていますが、操作性はシリーズ3、シリーズ2ともあまり変わらないようです。もちろん操作しやすいです。

サムレストとサムフック
シリーズ3はサムレスト、サムフックともに真鍮(ブラス)製に変更されています。管体と同じ素材を使用しブラスの響きにこだわりが感じられます。シリーズ2はどちらもプラスチック製で管体自体の重量がシリーズ3よりもあるようなので、あまりブラスを付け加えてもサウンドが締まりすぎてしまうためと思われます。

中音部のC#トーンホールとオクターブメカニズム
シリーズ3は音抜けや音程の改善からかオクターブkeyを使用しない場合の中音C#の時に2箇所のトーンホールが開く方式に改良されています。オクターブkey使用時のC#の時は片方のトーンホールだけが開くようになっており、必然的にオクターブkeyメカニズムも変更されています。やや複雑な機構になった分調整用のネジが取り付けられています。ただネジが増えると逆にネジは知らない間に吹いた演奏時の振動などで、回ってしまう事があるので狂いの元になる事も考えられます。(ドライバーで回せば済むことですが、初心者の方にはとまどいますね)

刻印
シリーズ3はかなりあっさりした刻印に変更されました。

以上、試奏と変更点をチェックしましたが、かなりマーク6やジャズの匂いが感じられる楽器に仕上がったと言う感想で、ジャズファンにはお奨めできるし、歓迎される楽器と言う答えが出ました。
是非、ご来店いただいて実際に試してみて下さい。