The saxophone of Dream ?ヴィンテージSelmerを紐解く? 

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Vintage Selmer?フラセルとアメセル?


今日 VintageSAXと位置付けられているメーカーといえば、
“CONN” “MARTIN” “KING” “BUESCHER”など、
強い個性を持ったメーカーが沢山ありますが、
代表的なメーカーと言えばやはりSELMERではないでしょうか。




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※Selmer Marl6 Tenor 9万番台 アメリカアッセンブリ





中でも、SELMER社製「Super Blanced Action」「Mark6」「Mark7」の3機種については、
アメリカでアッセンブルした通称「アメセル」と、対してフランスでアッセンブリされた「フラセル」の2種類あることは日本ではあまりに有名です。



シリアルナンバーで製造国を判断することは困難で、その見分け方はサウンドの違い、彫刻模様、塗装、調整などの違いで見分ける必要があります。



<なぜこの時期だけパーツのままアメリカへ運搬後、組み立てた個体が出来たのでしょか>

理由については諸説ありますが、セルマー家の血筋の方がアメリカへ移住後、身内が母国フランスで製造・販売していた楽器を販売する為のお店をアメリカで始めたのがきっかけと言われています。

その時の運送コストであったり、フランスとアメリカでポピュラーな音楽が違った為、ユーザーの要望に対応出来るようそれぞれの国の技術者が製造に関わった事でより市場へのアプローチになったと考えられますね。






ちなみに、ご存知の方も多いと思いますが、
現在高値で取引されているのは、アメリカアッセンブリの方です。
近年フランスアッセンブリも高騰していますが、やはりアメリカアッセンブリとの間には大きな差があります。
なぜこんなことになってしまったかというと、やはり特徴的な音色の違いが影響しているのは明白です。
アメリカアッセンブリにはより多くの細かな音色に対する探究心が散りばめられているうに思えます。


今回は、そんなアメリカアッセンブリとフランスアッセンブリが具体的にどこが違って、音に影響を与えているのか
をご紹介したいと思います。












?アメリカアッセンブリ と フランスアッセンブリ 特徴を比較?
(不本意ですが、ココからは省略してアメセル・フラセルと表記させていただいきます)




1.彫刻 –画像はすべてMark6を使用しています-

最も解りやすいポイントとして彫刻が異なることは有名です。


・アメセル:ベルから横に華が咲いています。
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※Selmer Tenor Mark6 アメセル 9万番台




・フラセル:ベルフレアに向かって下から上に蕾が描かれています
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※Selmer Tenor Mark6 フラセル 17万番台



2.塗装方法の違い

どちらもラッカーの塗料が主流ですが、

アメセル
:ラッカー拭きつけ後自然乾燥に近い仕上げとなっており、塗膜も薄く、その分、腐食や剥げやすい欠点はありますが、管体の振動を損なわないので、音抜けが良く、鳴りが良くなっている。

フラセル
:焼き付け塗装を採用し、塗膜が厚めで、腐食には強い反面、やや硬めの鳴りと、音が抜けるまでに時間がかかる。




アメセルは、フラセルに比べ管体ブラスの響きを殺すことなく、ナチュラルなサウンドを引き出します。
この塗装に関する違いが音色へ多大なる影響を与えていると考えられています。


また、上記彫刻の画像でもわかるかと思いますが、現代で見受けられる個体は下地のブラスと反応し、独特な色(緑掛かったような色や焼けた茶色の様な色)になっているものが多く、アメセル独特の雰囲気を醸し出しています。


また、アメセルの製造時には、楽器を組み立てた後に空いているタンポを閉じた状態で吹き付け塗装を行っていた為、オリジナルタンポには外周にラッカーがかかっています。


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3.キィアクション

アメセルのキィアクションは基本的に低めにセッティングされ、速いパッセージでも楽なフィンガリングを可能にしています。また、音色的にもダークで深みのある音色を実現しています。


フラセルは、基本的にコンサートホールで演奏するクラシック奏者向けを想定して音抜けや音程を重視したセッティングになっています。





4.シリアルナンバー

12万番台までのアメセルには、フランスで製作したパーツをアメリカへ輸送して組み上げていた為、管本体とネックがバラバラにならないように、両方にシリアルナンバーが彫刻されています。


ただし、より良い音色を追い求める為、製造の段階で意図的にシリアルからバラして組み合わせた個体もあったようです。


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※Selmer Tenor Mark6 アメセル 9万番台 / ネックシリアル







5.1本1本大幅な個体差があるアメセル

ここからは特にアメセルに見受けられる特徴をご紹介します。


先にご説明したアメセル特有の音抜け・鳴りの良さ、
アーティキュレーションによる音色の変化の幅の広さを再現する要因となっているのが
下記アメリカ技術者達の個体1本1本手作業での製造にあると思われます。


・オクターブキィのベンドチューブの内径を広げ、音抜けの向上を計っている個体がある

・ネックのリードパイプの内径を広げ、音量の増大を計った個体がある(内径を広げるとピッチが低めになるため、ネックコルクはマウスピースを深めに差し込めるよう、長めに巻いてあります。)

・U字管の接合部分には、息漏れを防ぐためにハンダ付けをしてある楽器を多く見受けられる。
また、U字管の中の上部に補強とサウンドバランスを取る目的の為と思われるバランサー(薄い板金)を取り付けられた楽器もある。

・キィノイズを防ぐ為、オクターブ連絡キィのシーソー部に小さなコルクを取り付けた個体も見受けられます。

・パッドのリゾネーター(タンポの中心に取り付けた反射板)は個体に合わせてメタル製・プラスティック製を技術者とユーザーが選んでいた







などなど。

おそらく数え切れないほどあるであろう「良くも悪くも」個体差の原因といえる当時の最高峰の技術力です。


※ちなみに、ネックオクターブキィのロゴマーク部のカラーで見分けるのはオススメ致しません。
アメセルの中でも、青いロゴカラーが入った個体も多数発見されているようですので、一概に色が入ってないものがアメセルとは言えないようです。

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※ Selmer Tenor Mark6 アメセル 9万番台







上記のような組立、調整が腕利きの技術者の手によって行われ、ハイクオリティーなサックスが作られました。このようなアメセル独特の調整を施した時期は1945年位からマーク7までとなっていますが、本格的に細かな所まで調整していたのは1963年とも1975年位までとも言われており、実際のところ特定する事は難しいようです。(年代については諸説あります)
その上、この年代の個体差は大きく、年代により良し悪しを決めるのはナンセンスでしょう。


なんといっても実のところアメリカ本国ではどこで組み立てられたかはあまり重要視されておらず、その違いを見分ける知識などは日本人の方が長けているなんて言われています。



日本人のミーハーさがわかってしまうエピソードですね。笑




しかしなんかロマンを感じざるを得ない雰囲気を醸し出すアメセル。






アメセルの特長を表現するとしたら、ラッカー自然乾燥による芯が太くダークな音色、音抜け・鳴りの良さ、アーティキュレーションによる音色の変化の幅広さを追求した他に類を見ないプレイヤー目線の楽器であるということになるでしょう。

出会う個体毎に新しい発見があり、プレイヤーを酔わせる技術者の配慮が随所に散りばめられた魅力こそが、アメセルに心惹かれる方が後を絶たない要因となっているのではないでしょうか。


こちらもぜひご覧下さい。

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<オンラインショップ  管楽器担当:玉城>

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