Donal Lunny Coolfin Live ( by A, Shirai / Ishibashi Music )

1998年12月6日(日)新宿のリキッド・ルームでおこなわれたドーナル・ラニー・クールフィンの ライヴに行ってきました。ドーナルは昨今のアイリッシュ・ブームの先端に立つアイリッシュ・ブズーキ奏者件 プロデューサーで、エルヴィス・コステロなどとも一緒に活動してきているので 一般のロック・ファンにも知られるアーティストです。 メンバーにアイリッシュ・ミュージック・シーンの大物を従えたドーナル自身のプロジェクトが、 ドーナル・ラニー・クールフィンです。クールフィンを名乗るようになったのは今年からですが、 彼らの来日は3度目。 ドーナル自身は5月に別のアイリッシュ人気バンド、アルタンの来日時にゲストとしても来ています。 フィドル、ブズーキ、アコーディオン、イーリアン・パイプ、ティン・ホイッスル、ロー・ホイッスルなど トラッドな楽器はもちろんですが、ラテン・パーカッション、ドラム、エレキ・ベースも入ったバンド編成のため、 ポップス、ロック・ファンにも馴染みやすいコンテンポラリーなサウンドの要素が加味され、 伝統を伝えながらも聴きやすいサウンドとなっているのがポイントです。 今回は5月のケルティック・ミュージック・フェスティバルの続編、 ケルティック・クリスマスと名打ったイベントの一環のライヴで、6日はゲスト・ミュージシャン、 別個に来日していた他のアイリッシュ・アーティストも合流する豪華企画となっていました。

印象的だったのが、アイリッシュ、ケルト音楽のファン層に広がりが見られたことです。 これまでのOL中心とでも言えそうだったファン層でしたが、学生さん風の方も目立ち、 また男性ファンもずいぶんと増えたようです。 スタンディングの会場だったので、アップ・テンポのフィドル・チューンでは手拍子、 足拍子で大盛り上がりしていました。反面バラードではしっかりと聴きに入るという、 マナーの良いファンばかりでした。 映画「タイタニック」ですっかり耳に馴染んだロー・ホイッスルも頻繁に登場したので、 「あの楽器があの音色の元だったのか」と思った方も多いことでしょう。

「タイタニック」の効果は抜きにしても、アイリッシュ音楽に対する日本の受け入れ基盤は完全に 出来上がったと言えるのではないでしょうか。元々アジア的なテイストを持つ音楽です。 またロックのルーツでもあります(最近では「ロックはアメリカのカントリーとブルースという ふたつの音楽から生まれた」と言う常識にとって変わって、 「ロックはケルト音楽とアフリカ音楽がアメリカへの移民や奴隷を通じて融合したもの」という常識が 語られはじめています)。他のワールド・ミュージック以上に浸透するでしょう。 そういえば、ドリカムやルナ・シーもケルト音楽に影響を受けていると明言しているそうです。

話をドーナル・ラニーに戻しますが、アンコールでは飛び入りでソウル・フラワー・ユニオンの面々 と山口洋(ヒートウェイヴ)が登場しました。前方の若い女の子ふたり組が抱き合って喜んでいましたが、 きっと彼女たちはソウル・フラワーやヒートウェイヴの音楽をきっかけに、アイッリシュに入り込んだのでしょう。 僕らの世代が吉田拓郎からボブ・ディランに入ったのと同様に。 ソウル・フラワーの中川敬は今回もしっかり三線を持っての登場。 阪神淡路大震災被災者の応援歌で、23時台のニュース番組でもすっかりお馴染みになってしまった「満月の夜」を 全員で演奏してフィナーレとなりました。

( Written by A, Shirai )