Ishibashi Mail Magazine

Ishibashi Mail Magazine Vol.46

第8回(2008年5月8日発行)

「アンサンブルについて」

前回はソロギターについてお話しましたが、今回はバンドなどにおけるギターとその他の楽器についてのアンサンブルについてお話したいと思います。

皆さんご存知のようにギターはソロ楽器としての役割とリズム楽器としての役割と両方を担える楽器です。ジャズの創世記においてはリズム楽器の役割がほとんどでしたが、1940年代の初頭にチャーリー・クリスチャンというギタリストが初めてエレクトリックギターを使用した事により、ソロ楽器:メロディーやアドリブなどのフロントでの位置も確立し始めました。その後1950年代の半ばのロックンロールの登場により、チャック・ベリーなどが更にポピュラー音楽の中でのギターの位置を主人公にのし上げます。

ギターのリフ:ジャズの4ビートの刻み、ロックのリフ、ソウルやファンクなどのカッティング、ボサノヴァのパターン、レゲエのオフビートの刻み、その他どれをとってもギターの魅力はポピュラーミュージックからは決して切り離せません。

バッキングで大事な事はまず第一に存在感のあるリフでありつつ、フロント(歌やメロディーを担う楽器)を音量的にも音数的にも決して邪魔をしない事です。これが第一条件です。

またジャズのようにフリーなバッキング(コンピングとも言います)でも不必要な音数、音量はバツです。それからセンスのいいフレーズと共に、フロントに上手く絡むオブリも必要です。

フロントでメロディー、或いはアドリブを取っていても周りの楽器とのバランスを当然考えるべきだと思います。僕は昔アメリカンフットボールでランニングバックというボールを持って走るポジションをやっていましたが、僕が走る事ができるのは僕の通る前をラインメンや他のバックス、レシーバーの選手が相手をブロックしてくれたからです。

要するにチームワークですね。音楽におけるアンサンブルもこれとよく似ています。ドラムス、ベース、鍵盤、パーカッション、管楽器、ストリングス、ヴォーカル、その他、たくさんのパートとよいチームプレイができたバンドほど、リスナーに心地よく聴こえているはずです。そして各楽器によってのバランスの差も考えるべきだと思います。

ギターは特にエレクトリック化されてから音量をいくらでも上げる事の できる楽器ですし、コード楽器であるがゆえにたくさんの音数も一辺に出す事ができます。これをプラスな方向に利用するか、しないかは演奏するギタリスト本人の判断でしかないと思います。素晴らしいギタリストほど、音数、音量のバランスを考えているものだと思います。

杉本篤彦

杉本篤彦・プロフィール

写真ギタリスト、作、編曲家

 現在まで16枚のリーダー・アルバムをリリース、TV、FM各局でオンエアされている。高校、大学、実業団とアメリカンフットボールの選手として活動後、23才にしてミュージシャンを目指しジャズを始める。ソウル、R&B、ジャズをベースにしたオリジナルサウンド、自身が生み出した前人未到のオリジナル指奏法「ツーフィンガー・ストローク」による驚異的なテクニック、日本人離れした強力なグルーヴ感と歌い上げるフレーズは音楽各誌他、各方面で現代最高峰のギタリストの一人として高い評価を受けている。

 1996年よりギブソン、2005年よりトーラスコーポレーションともエンドースメント契約。著書として(株)ヤマハミュージックメディアよりジャズギターの教則本「厳選 決まるジャズギター定番名曲」を出版。現在リーダーグループ「杉本篤彦バンド」を中心に全国各地でライブ活動中。

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杉本篤彦 オフィシャル・サイト
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