イシバシ三銃士のスーパーギター列伝

第66回(by ルーク居波)

 メールマガジンをご覧の皆さま、今月も様々なギターの魅力をご紹介する「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」のお時間がやってきました。

 本日も私ルーク居波が素晴らしきフェンダーの世界をご案内致します。

 最近のフェンダーは様々な新製品を発表しておりますが、その中でも過去のモデルを限定復刻させた商品が結構出てきましたよね。その中でも個人的に好きなモデル、スーパーソニックが昨年と今年に大復刻かなりの盛り上がりを見せましたのでさっそくご紹介しましょう。

 まずスーパーソニックについての歴史を振り返りましょう。

 1997年Squierカタログ(楽器カタログの世界より引用

 スーパーソニックは1997年にSquierブランドからVista Series(ヴィスタシリーズ)として発売されました。ジャズマスター、ジャガーを逆にしたようなデザインの小振りなバスウッドボディにショートスケールネックを採用、そしてなんといってもリバースヘッドが印象的です。ピックアップはオープンタイプのドラッグスターハムバッカーを2基搭載、トーンコントロールはなく、2ヴォリュームコントロール仕様の攻撃的なサウンドが売りでした。デザインを手がけた当時フェンダーのプロダクトマネージャー、ジョー・カードゥッチがジミー・ヘンドリックス好きだったという話はファンの間では有名ですが、同じ期間にJagmasterやVENUS(故カート・コバーンの妻コートニー・ラブとのコラボモデル)などを発表していることから90年代のグランジ、オルタナムーブメントの流れを汲んでのデザインでもありますよね。カラーラインナップはオリンピックホワイト(カタログではスノーホワイト)とブラック(モデル名SS-55)、そしてブルースパークルとシルバースパークル(モデル名SS-63)の4色。モデル名の違いはフィニッシュカラーのみ、数字は当時の定価。この時期のSquierはフェンダーUSA企画デザインの国産モデルで東海楽器が製造を担っていました。生産数の少なさ、日本製ということもあり、オリジナルモデルは現在でも中古市場でほとんど流通していません。価格も2倍以上と非常に高騰しています。

 スーパーソニックといえばスパークルフィニッシュといった印象もありますし、日本ではAIRこと車谷浩司氏の使用でも有名ですが、私がこのモデルを知ったきっかけは変態ギタリスト、オマー・ロドリゲス・ロペスがAt The Drive‐Inでブラックフィニッシュの個体を使用していたからです。彼は左利きのギタリストなのでスーパーソニックを逆に構え、コントロール類を改造して使用していました。最初はムスタングを使っているのだと思っていましたがよくよく見るとがっつり改造されたスーパーソニックだったのです。当時高校生だった私は楽器屋を巡ってスーパーソニックを探しましたが出会えるはずもなく…そんなスーパーソニックがまたまた復刻?ただ現状、左利きモデルはラインナップにないのでオマーと同じ改造はできません…出してください!

 そんなスーパーソニックですが2012年に突如フェンダーメキシコPawn Shop Seriesから復刻されます。この時のピックアップはゼブラカラーのアトミックハムバッカーを2基搭載、フロントピックアップもスラントされていてオリジナルの見た目とは若干異なります。カラーラインナップはアップルレッドフレイク、ダークガンメタルフレイク、サンファイアオレンジフレイクの3ラインナップ。生産期間は約1年とまたしても短く、流通量も少なかったようです。また今年復活したモデルも含めてボディ材にアルダーが使用されているのはこのモデルのみで、現在の中古価格もかなり高騰しているレアモデルです。

 続いての復刻は昨年2020年7月、SquierブランドからParanormal Seriesとして発売されました。カラーナインナップはグラファイトメタリックとアイスブルーメタリックの2ラインナップ。ボディ材はポプラを採用。しかしこのモデルは限定発売の上、日本への入荷数も非常に少なく発売日と同時にすべて完売、店頭に並ぶこともなく終了してしまいました。これは本当に早かったです。発売日に何件ものお問い合わせをもらいましたがその度に売り切れのご案内をする事となりまして、スタッフ間では幻のギターと呼ばれていました笑みんなスーパーソニックの復刻を待っていたんだなと深く感じた瞬間でしたね。

 お次は今年の2021年7月、フェンダーの公式ショップ限定でMaide In Japan Fenderのスーパーソニックが発売されました。カラーラインナップはオリジナルカラーのシルバースパークルのみでボディ材はバスウッド、ピックアップはショーバッカーを採用。先に復刻したSquierモデルの4倍近い価格のモデルでしたがこちらも早々に完売したそうです。

 そしてその熱量のまま今年2021年の7月、Squier Paranormalシリーズ、Maide In Japan Fenderよりまたも復活を遂げたのです!前置きが長くなってしまってすみません、ただこう言った経緯を知ることで今回の復刻がいかに価値のあるものなのかを知ることができると思います。

 それではやっと製品のご紹介です。

Squier / Paranormal Super-Sonic Laurel Fingerboard Pearloid Pickguard Blue Sparkle/Tortoiseshell Pickguard Shell Pink

 \ 49,500 (税込)

 先に復刻したParanormal Seriesよりカラーナインナップを変更しての登場。オリジナルカラーでもあるブルースパークルの復活が非常にうれしいモデルです!パーロイドのピックガードもスパークルフィニッシュとマッチしていますね。1.5インチ幅のナットを採用した細めのCシェイプネックと、ショートスケールネックの採用により握り心地も良く、演奏性も高いです、またボディ材はポプラで指板はインディアンローレルを採用。高出力Squier Atomicハムバッカーを2基搭載しています。

 カラッとしたパワフルなサウンドが魅力ですが、ショートスケールと高出力ハムバッカーとの相性はあまりよくありません笑、弦のテンション感の少なさからくる分離感の乏しさを感じ、歪ませすぎると音のつぶれが目立ちます。なので少し太めの弦を張ることをおススメします!ただこのつぶれた感じが実にスーパーソニックらしいので全然問題ないですけどね!

 

Fender / Made in Japan Limited Super-Sonic Rosewood Fingerboard Blue Sparkle/Black/Olympic White

 \ 136,620 (税込)

 先に復刻した公式ショップ限定のスーパーソニックがカラーナインナップとピックアップを変えて再登場。カラーラインナップもブルースパークル、オリンピックホワイト、ブラックとすべてオリジナルカラーでの復活。ボディ材はバスウッドを採用しており、Uシェイプのメイプルネック、9.5インチラジアスのローズウッド指板とミディアムジャンボフレットが高い演奏性を実現しています。ピックアップドラッグスターハムバッカーを採用しており、オリジナルのVista Seriesに一番近い仕様となっています。本製品は2021年の限定製品となりますのでお早めにご検討ください。

 さすがは日本製、演奏性もサウンドも非常に高水準です。低音もしっかりと出ていて歪ませたときの分離感も十分です!無改造で使うなら日本製、自分で改造して楽しむならSquier製といった印象ですね。

 また着目したいのがブルースパークルフィニッシュの違いです。色味やフレークの大きさが全然違違うんですSquierモデルのほうがフレークが小さく下地のブラックが多く見えていますので、レトロな雰囲気の色味が最高にかっこいいので是非店頭で比べてみてください。

いかがでしょうか。今年の復刻モデルも限定生産につきすぐに近いうちに生産終了となります。既に在庫も切らしているモデルも出てきていますので気になっている方は本当にお早めに!過去の経緯を見れば一目瞭然、確実に手に入りづらくなり、中古の値段も高騰することでしょう。次の復刻は見当もつきませんからね笑

 この記事が少しでも参考になればうれしいです。

 さて今回の投稿で「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」私、ルーク居波投稿分は最後になります! 2016年より様々な製品をご紹介させて頂きましたが、非常にありがたいことに私の拙い記事を読んで実際にご来店頂いたお客様、ご購入いただいたお客様も多く いらっしゃいました。本当にありがとうございました。

 イシバシ楽器池袋店のご利用の際は是非声をかけてください

 今後も大いなるギターワールドの旅に出かけよう

今回ご紹介したモデルの商品ページ

ルーク居波

ルーク居波(ルークいなみ)

 横浜店勤務時代はデューク工藤に、渋谷店ではスターキー星に師事、現在池袋店にてフェンダーを担当。海外買付なども行っており、2人のフェンダーDNAを引き継いだ若きホープである。彼自身、多数のフェンダーギターを所有しており、中でもジャズマスターにかける愛はイシバシ随一! ちなみに彼が身につけているメガネもフェンダー製なのは言うまでも無い。 フェイバリットミュージックはオルタナ、ポストロック、シューゲイザーなど現代的なものから70~90年代のロックまで幅広く愛聴している。常にお客様の立場に立ち、独自の視点で最高の1本を探すお手伝いをさせて頂きます。