イシバシ三銃士のスーパーギター列伝

第57回(by ルーク居波)

 メールマガジンをご覧の皆さま、今月も様々なギターの魅力をご紹介する「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」のお時間がやってきました。

 明けましておめでとうございます。今年も1年、皆様のギターライフを豊かに出来るよう投稿していきたいと思います。

 去年の10月にフェンダーより発売されたアメリカンプロフェッショナル2(以下アメプロ2)シリーズですが既に人気を博しており、発売から数か月でかなりの本数が売れています。もともと人気のあった前作の後継機種ですから知名度も話題性も十分でしたね。また、最近のフェンダーはブランディングが非常にうまいですね。誰もが知ってるプレイヤーはもちろん、若いプレイヤーを広告に多用することで幅広い世代の支持を獲得していますよね。

 さて、そんなアメプロ2ですが生産スケジュールの関係上、先行してストラトキャスター、テレキャスター、ジャズベース、プレジションベースが国内流通しておりましたが、最近やっとジャズマスターが入荷しましたので今回はアメプロ2のジャズマスターをご案内しましょう。個人的にもかなり期待していました。

Fender / American Professional II Jazzmaster

 それでは上から見ていきましょう。ネックには全シリーズで好評を得ていたDeep Cシェイプネックを引き続き採用、ナット部はスリムで、ネックジョイントに近づくにつれて徐々に厚みを増していき、高い演奏性を実現しています。そしてアメプロ2より遂にネックのロールオフ加工が施されました。これはロールバインディングのようなものでフレットの端や指板の縁を丁寧にエッジ処理した加工です。またネックには"Super-Natural"サテン仕上げが施され、全モデルに比べ更に薄くさらっとした、肌触りとなっています。このロールオフ加工とサテン仕上げのネックが非常に演奏性を高くしており、吸い付くような抜群の握り心地を体感できます。ここが入荷時にアメプロ2の進化を強く感じた点でもあります。フレットは引き続き、細身で山高のナロートールフレットを採用、ヴィンテージなテイストとモダンなフィーリングを併せ持っており、チョーキングやハイポジションでのコード弾きも得意とします。

 さらに丸く成型されたネックヒールとネックプレートにより、ハイポジションでの演奏性も格段に上がっています。

 V-Mod II Jazzmaster Single-Coilピックアップは、これまで以上に繊細なトーンを奏で、Jazzmaster特有の煌びやかなサウンドが得られます。前作やヴィンテージ系のジャズマスターと比べるとよりクリアで透き通った音ですね、出力も僅かに元気な印象を受けます。

 ブリッジピックアップにはプッシュプッシュのタップ機能を装備、オンにすれば若干出力が低くなり、カラッとしたヴィンテージサウンドを楽しめます。ヴィンテージ系のジャズマスターを使っている方であれば、こちらのサウンドの方が慣れた音に聞こえると思います。本来プリセット回路のある上部のスライドスイッチには両ピックアップを直列で使用できるリズムサーキットを搭載。瞬時にハムバッカーのような太くサウンドを出せるのも実践的です。ジャズマスターのプリセット回路を使う人ってあまりいないですよね笑、これでやっとこのスイッチ部も陽の目をみるか?!笑、2つのホイールコントロールではボリュームとトーンの調整が可能です。

 このプリセット部の仕様変更がかなり魅力的ですよね、前作ではプリセット回路がまるまるカットされピックアップセレクターになっていたので今作では見た目もよりヴィンテージライクに戻っています。また写真では分かり辛いかもしれませんが、ピックアップカバーやノブパーツの色合いが濃いクリームに変更されており、より見た目のヴィンテージ感が増したように思えます。

 ブリッジにはおなじみのムスタングブリッジが搭載され、煩わしい調整や弦落ちの心配はありません。またアンカー部の隙間は特製のパーツで埋められており、チューニングの安定制度も向上されています。アームを使わない人からしたらブリッジアンカー部の隙間が厄介でしたからね、これはありがたいですね。取り外し可能なので取って使ってもOK。

 トレモロユニット部には新開発のポップインアーム式Panorama? Tremoloシステムを搭載。ビブラートの範囲を劇的に広げ、クラシックなJazzmasterの揺らぎに加えて、Stratocasterスタイルの大胆なアーミングを可能にします。これです!発表があった時からここがどう変わったのかずっと気になっていたんですよ。早速分解してみましょう。

 左が従来のジャズマスターのトレモロユニット、右が新機構のパノラマトレモロユニットです。見た感じでは稼動部の構造がなにやら違いますね。

 従来のユニットの稼動部は完全な連結はされてなく、鉄の板が噛み合っているだけです。故にバネの力を感じるまでに若干の遊びが発生します。比べてパノラマトレモロユニットは稼動部がスムーズに動くようビスにて連結されているのでアームの倒し始めからすぐに滑らかなビブラートがかかるよう設計されています。

 次にアームの角度を見てみましょう。日本製のトラディショナルなジャズマスターと比べてみます。

 左が日本製のジャズマスターのアーム角、右がアメプロ2のジャズマスターのアーム角です。一目瞭然!!アメプロ2のアーム角のほうが断然上を向いています。上に向いている分だけ稼動の範囲が広がっているという事ですね。(※ユニット内部のバネの締め具合、モデルや年式、アームの曲がり具合により角度は若干変わります。)

 アームダウンだけではなく、アームアップも結構あがります。メーカーの宣伝のとおり、ストラトキャスタースタイルの大胆なアーミングが可能です。もちろん激しいアーミングではチューニングも若干変化してしまいますが、動きの滑らかさにより従来のモデルでのアーミング時よりはチューニングのズレが改善されているように感じます。トレムロックも可能なのでアームを使わない人やアームアップを使わない人はロックしたほうが良いでしょう。

 アームはポップイン式が採用されており、カチッとはめれば抜け落ちる心配はありません。また内部の芋ネジを締めることによりアームの横の動きの調整も可能です。ユニットを開けなければいけないので調整は大変ですがアームの無駄なブラブラを制御可能です。

 さて私事ではありますがシューゲイザーというジャンルが大好きなんですよ笑、このジャンルではしばしばアームを握りながらストロークをする事があるんです。アーミングはしないで握っておくだけ!そのままストロークすることにより僅かにビブラートがかかり幻想的な揺れを表現出来るわけです。My Bloody Valentineのケヴィン・シールズの奏法で有名ですよね。この奏法はストラトのトレモロユニットではなかなか再現できない訳で、故にシューゲイザープレイヤー達にはジャズマスターやジャガー使いが多いわけですね。今回アメプロ2でも試してみたところ、アームの角度が上向きなので若干やり辛さはあるもののビブラートのかかり具合は従来の音色と遜色なかったです。アーミングがスムーズになったおかげで細かい制御がしやすくなったという印象ですね。深いアーミングも可能なのでこれまでにない轟音やノイズ、幻想的なシューゲイザーサウンドを作れそうなのでワクワクしてきました笑

 またアメプロ2より仲間入りした新色にも注目です。池袋店には1月現在、定番のサンバーストと新色のマーキュリーが入荷中。個人的にはこのマーキュリーがお気に入り。ジャズマスターのボディデザインとこの配色がすごいマッチしていて好きですね。今後の新色ラインナップの入荷も待ち遠しいです。是非イシバシ楽器のサイトをチェックしてみてください。

 いかがでしたでしょうか。発表時からかなり気になっていたアメプロ2のジャズマスター、現行モデルの中で最もトラディショナルさとモダンさのバランスが良いと感じています。今ジャズマスター買うなら絶対にこのモデルだと自信を持ってお勧めします。

 さあ大いなるギターワールドの旅に出かけよう!

 今回紹介した商品はこちら

 FENDER / American Professional II Jazzmaster Rosewood Fingerboard 3-Color Sunburst 【SN:US20090076】\ 207,900 (税込)

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 Fender/ American Professional II Jazzmaster Rosewood Fingerboard Mercury【S/N US20085140】\ 207,900 (税込)

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 ※2021年1月22日現在の在庫品です。すでに販売済の場合はご容赦ください。

ルーク居波

ルーク居波(ルークいなみ)

 横浜店勤務時代はデューク工藤に、渋谷店ではスターキー星に師事、現在池袋店にてフェンダーを担当。海外買付なども行っており、2人のフェンダーDNAを引き継いだ若きホープである。彼自身、多数のフェンダーギターを所有しており、中でもジャズマスターにかける愛はイシバシ随一! ちなみに彼が身につけているメガネもフェンダー製なのは言うまでも無い。 フェイバリットミュージックはオルタナ、ポストロック、シューゲイザーなど現代的なものから70〜90年代のロックまで幅広く愛聴している。常にお客様の立場に立ち、独自の視点で最高の1本を探すお手伝いをさせて頂きます。