イシバシ三銃士のスーパーギター列伝

第3回

メールマガジンをご覧の皆さま、今月も様々なギターの魅力をご紹介する「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」のお時間がやってまいりました。第3回目は私、ルーク居波が担当いたします。

 偉大なるフェンダリアン、スターキー星が5年間続けたこのギターコラムも今年の4月から一新、新たに「イシバシ三銃士のスーパーギター列伝」として生まれ変わりました、プロレス好きの私には闘魂三銃士と同じ称号を受け、光栄に思っております、身に余る称号ですがその名に恥じぬようより多くのお客様にギターの素晴らしさを広めていきたいと思います。

 さて今回ご紹介する記念すべき初回のギターはもちろんフェンダーでございます、実にフェンダーらしい遊び心が詰まった1本をご紹介いたしましょう。

 本器はマスタービルダー、デニス・ガルスカ(Dennis Galuszka)が2002年のNAMM SHOWのために製作したい大変珍しい1本です。認定書の製品名をみるとCustom Vinyl Stratocasterの記載があります、vinyl(ビニール、正しい発音はヴァイナル)とは見ての通りレコードを意味し、ピックガードにレコードをあしらった個性的な外見が目を惹きますね。

 製作に当たったデニスはもともとドラム奏者でありながら家具職人の経歴を持ちます、そんな彼が最初に作ったギターは当時勤めていたキャビネットメーカーのオーナーと共に製作したアコースティックギターでした、その経験が彼のギター製作への情熱に火をつけたようです。その後、同じバンドでプレイしていたマスタービルダー、フレッド・スチュアート氏の薦めもあり1999年に念願であったカスタムショップの一員となります。デニスと同じく家具職人であったステファン・スターンとグレッグ・フェスラーの助手をしながら、家具職人時代に培った木工技術を活かし、瞬く間に頭角をあらわして入社8か月後の2000年にはマスタービルダーに昇格します。

 国内外問わず多くのトップミュージシャンからの信頼を得ているデニスは、エリック・ジョンソン・ストラトキャスターの開発時においてプロトタイプのネックを製作、ジョンソン本人を唸らせました。その他にもアンディ・サマーズやシェリル・クロウ、高中正義らといった、世界トップクラスのミュージシャンのギターを製作するプロジェクトで高い評価を得ています。最近では30本限りで製作された、LUNA SEAのINORANシグネチャー・ジャズマスターが記憶に新しいですね。

 Vinyl Stratocasterには木工のスペシャリスト、デニスのイマジネーション溢れるユニークな一面が表現されています。

 ピックガードには本物のレコードを使用、薄いピックガードの上にレコードを貼り付け加工してあります。中央のシール部にはFENDER’S RADIO SERVICEの印字が。ご存知の方も多いかとは思いますがFENDER’S RADIO SERVICEとはフェンダーギターの創業者でもあるレオ・フェンダーが1938年に設立したラジオ修理会社のこと。いや、非常に憎い演出ですね。デニスのレオ・フェンダーに対する尊敬が垣間見えます。

 ちなみにピックガードに使われているこのレコード、もとはオーストラリアのハードロックバンド、Noiseworksのファーストアルバム「Noiseworks」が使われています。これはデニスの趣味でしょうか(笑)

 またピックガード以外にも随所にこだわりが見られます。指板にはスタビライザーの形を模したインレイが使われており、レコード針に見立てたトレモロアームは、アーミングをする度にレコードに針を落とす感覚が味わえます。レコードが好きな方でも納得のこだわりだと思いますがいかがでしょうか。もちろん木工のスペシャリストが製作したこの一本、ギター本体のクオリティもトップクラスです。

 指板には今や希少材であるエボニーを使用。ややフラットな9.5インチRにヴィンテージフレットを組み合わせたヴィンテージ/モダンスペックです。ネックは細身のCシェイプを採用しており、抜群の演奏性を誇ります。またなんといってもびっしりとフレイムの入ったメイプルネックが材のグレードを物語っています。

 ボディ材は上質なアルダー、ピックアップにはFat ’50sが搭載されており、レコードピックガードのデザイン性からピックアップは2基、セレクターは3ウェイを採用、ボディ、ネック共にウレタン塗装にて仕上げられています。

 力強く甘い極上のサウンドは一度弾いたらやみつきになること間違いなしです。ネック鳴り、弦の振動も素晴らしく、抜けのよいサウンドをアウトプットします。これはデニスの製作するギターの大きな特徴でもありますが、ジョイント部分をタイトに製作するため全体的によく振動するギターに仕上がるのです。接地面をタイトに仕上げるのは非常に腕のいる作業だけにさすがは木工のスペシャリストだと思わせられますね。

 いかがでしょうか。パールホワイトのボディとピックガードの黒いレコードが実に対照的でクラシカルな雰囲気を持つオンリーワンのギター。叶うことなら実際にNAMM SHOWで展示されていたところを見たかったですね。ぜひお客様の手でCustom Vinyl Stratocasterに針を落としてみてください。

 大いなるギターワールドの旅に出かけよう!

ルーク居波

ルーク居波(ルークいなみ)

横浜店勤務時代はデューク工藤に、渋谷店ではスターキー星に師事、現在同店にてフェンダーを担当。海外買付なども行っており、2人のフェンダーDNAを引き継いだ若きホープである。彼自身、多数のフェンダーギターを所有しており、中でもジャズマスターにかける愛はイシバシ随一! ちなみに彼が身につけているメガネもフェンダー製なのは言うまでも無い。 フェイバリットミュージックはオルタナ、ポストロック、シューゲイザーなど現代的なものから70~90年代のロックまで幅広く愛聴している。常にお客様の立場に立ち、独自の視点で最高の1本を探すお手伝いをさせて頂きます。