Ishibashi Mail Magazine Vol.16

Gibson Les Paul Jr 1959年製


1954年中期にレスポールスタンダードの兄弟機として発表されました。
レスポールスタンダードがアーチトップ構造であることに対し、フラット
トップで一枚板のマホガニー材が使用されている特徴を持つ。
当時のマホガニー材は、現在入手困難品種に指定されているホンジュラス
マホガニーが使用され、マホガニー材の見た目の特徴として、魚の鱗のように
角度によって”キラッ”と光を放ち、そして何より軽量である事も上げられる。

ボディーには男らしらの象徴となるワンマイクがマウントされ、ブリッジは
スタッドがボディーに直に打たれた形状でかつテールピース一体型で有る事から、
弦振動が直接的にボディーに影響を及ぼし、本体の鳴りが抜群に良い環境を作って
いる。指板には、ブラジリアンローズウッドが使用(当時は標準仕様)され、
シンプルなドットポジションマーク、バインディング無しで作業コストを削減し
価格もスタンダードに比べ低価格設定となっている。
 発売当初はサンバーストフィニッシュのみの製作となり、1954年には823本、
1955年には2839本と急激に製作本数をのばし、1960年までで、合計19035本を製作
している。

 50年代のレスポールファミリーのラインナップとして、カスタム、ジュニア、
スタンダード、スペシャルが存在するが、スタンダードが1952年から1960年までで
9557本であることから、2倍の生産量を誇り、エントリーユーザー向けの商材と
しての位置づけが伺われる。ちなみに1959年当時のレスポールJrは$132.50であり、
このときスタンダードは$265、カスタム$395であった。

 1958年中頃には、今回ご紹介するダブルカッタウェイ仕様へと変更となった。
58、59年の中頃迄はボディーのエッジがたった構造で、59年中頃から60年では
エッジが丸い形へとマイナーチェンジが行われている。
1961年には、スタンダード同様にSGシェイプへと変更されることとなる。そして、
再び登場するのは25年後の1986年となり、ドッグイヤータイプのP-90やチューン
オーマチックブリッジの採用、ゴールドノブにメタルのチュナー等、50年代物とは
全く違うモデルとなってしまう。。。。。

そして現在では、ギブソンヒストリックコレクションが1993年よりスタートし、
当時のモデルを研究し見事に復刻を完成させている。なかでも、1999年以降のモデル
では、無垢のマホガニー材に一番先に塗られる目留め材に、当時のような杢目
が、滲んだ感じになるようなフィラーが使用されるようになり、よりリアルな
フィニッシュへと変更された。かの有名なトムマーフィーによるアイデアが詰め込ま
れている。また、ヒスコレでは写真の様なバンブルビーキャパシター(カラーコード)
も採用されオリジナルの雰囲気を醸し出している。

今回のこのギターは、写真撮影時にはずしたピックガード下から、ボディーに対する
焼け跡が現れた。検証すると、何と左で使用するために、ピックガードを左右反対
に付け替えた痕跡を発見、荒波にもまれた歴戦の勇者であった。
 80年代LAメタルシーンに君臨したY&Tのサイドギターリスト、ジョーイ・アルベスも
LP-JRを使用していた。隠れたギターリストではあるがリフの一つ一つにLP-JRの
特徴が良く出ていたと思う。そして何よりも忘れてはならないLP-JRユーザーとしては
ストーンズのキース・リチャーズも付け加えておくとしよう。

まさにレジェンダリ〜!


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<プロフェッサー岸本:プロフィール>
平成8年入社。現渋谷店のサブマネージャー。
ヴェンテージギターに関しての知識はイシバシでNo.1!
プロミュージシャンもお得意様にとても多く、彼のマインドに惚れ込み
多数お店に通っていただいている。
また、英語力もまずまずの為、直接ギター工場のマスター・ビルダーと
話し合いする事も。彼自身のフェイバリット・ミュージックは
カントリーロック、ブルーグラス等。
「親切丁寧な接客」をモットーに、ヴィンテージギター、高額ギターの
ご相談等、いつでも渋谷店にてお待ちしております。









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