この映像は81年に発売されたRUSHの名盤、「MOVING PICTURES」が発売されて間もない頃のライブと思わ れる。同名のライブLPも発売されているが、LP邦題は「神話大全」と物凄いタイトルとなっていて、 この後もこの手のタイトルがRUSHにはよくつけられている。
カナダが生んだハードロックバンドとしては異例の大出世を遂げている。70年代にやはりカナダが生んだ 新生として”TEAZE”というバンドがいた。やたらと前評判は良かったのだが、日本公演は超不入りライブで 中野サンプラザの前から2列目までしか客が居なかったという物凄いライブであった。その2列に私も入って いたのだから貴重とも言えよう。しかし、このRUSHは違った。カナダどころかアメリカでも軒並みSOLD OUT に出来るほどのビックバンドに成長してしまったのである。
この映像はそんな超ブレイクする少し前のものであり、演奏にまだ荒々しさが残っていて非常に良いのだ。 デビューしたときは完全にハードロック志向であったが、「MOVING〜」から坂上ること4年前に発売された アルバム「A FAREWELL TO KINGS」あたりから俗に言う”プログレ色”が濃くなってきたのである。そうなると プログレ好きの私としては放っておく訳がない。70年後期に私は”NOVELA”という日本のバンドにドップリ 浸かっていた。その”NOVELA”のヴォーカリストのヒステリックなハイトーン・ヴォイスに、このバンドの ゲディー・リーの声が当時なんとなく似て聞こえたのだ。
そのゲディー・リーがこの映像の中で使っているベースがリッケンバッカーの4003である。リッケンは とにかく憧れのベースであった。今の40〜50代の方はみんなリッケンに憧れ、本物は高いから買えずに コピー物のグレコやウエストミンスターを購入したものである。また、映像の中にWネックのリッケンが 登場する。これを見たとき当時、新宿店でギター担当をしていた私は、グレコにこのベースを即座に特注した 事がある。いまだに所有している方がいるのなら、それは超希少品であります! しかし、このブリブリとしたサウンドはなかなかコピー物では出すことが出来ず、憧れはずっと憧れになって いるのが現状なのです。そして足元には定番のMOOGの”タウラス”! ジョン・ウェットン、クリス・スクワ イヤー、そしてギターリストではリッチーも使っているあの足鍵盤である。通常、”タウラス”はどのアー ティストも重低音で鳴らすのだが、RUSHに関しては通常のシンセ音を鳴らすこともある。それはギターの アレックス・ライフソンも同様の使い方であり、3人で出すサウンドの極限をこのバンドは出していた!
個人的には4曲目の”XANADU”が好きであるが、やはり目玉は”YYZ”! ハードロックのインストで これほど3人のパートがしっかり組み込まれている曲は他に無いのではと感じる。当然この曲は今でも RUSHのメインの1曲とされているのは言うまでも無い。
そしてRUSHは84年に初来日を果たす。東京公演は武道館1回のみであったが非常に印象に残っている。 ドラマーのニール・パートは当時、一世を風靡したエレドラ”SIMMONS”をTAMAのセットの後方にセットし、 "YYZ"の際に自らが回転し、両ドラムセットを叩きまわしていたのだ。その、パフォーマンス性たるや この時代には余り存在しないものであっただけに、衝撃的な出来事でもあった。 それ以来、RUSHは一度も来日していない。以前。ゲディー・リーがインタビューの際に「機材が多くて日本に いけないんだ」と言っていた。確かに大掛かりなのは解る。スゴイのは縮小したステージでは来日しないと 言う、その根性がとても好きである。今ならRUSHを見たいという人間は沢山居ると思いますので、どうか 来日してください。夜露死苦です!
[EXIT...STAGE LEFT / RUSH]
1.LIMELIGHT 2.TOM SAWYER 3.THE TREES 4.XANADU 5.RED BARCHETTA 6.FREE WILL 7.CLOSER TO THE HEART 8.YYZ 9.MEDLEY-BYTOR AND THE SNOW DOG -IN THE END -IN THE MOOD -2112 FINALE 10.YYZ(inst)
Geddy Lee (Ba,Vo) Alex Lifeson (Gt,Vo) Neil Peart (Dr)
|  LD盤ジャケット
 裏ジャケには過去のアルバムジャケットが盛り込まれている
 日本公演のチケット。この年より味気ない”ぴあチケット”が登場。
 最近出たDVD3枚組。この映像を含む過去の3枚を合わせた物。しかし高い! |