Ishibashi Mail Magazine Vol.20

ギブソン社が５０年代より主力商品として製作してきたのが”レスポールモデル”。
残念なことに６１年にはＳＧシェイプのボディーへと変更され短い生産期間に終わ
ってしまう。６０年代当時のハードロックシーンでは、ＳＧではなく５０年代のレスポールが
多くのミュージシャン達に使用され、ヘビーなサウンドが好まれていた。
ギブソン社は６０年代後半に、再びレスポール氏とコンタクトをとり５０年代シェイプ
のレスポールの生産ラインを再び可動する事となる。それが１９６８年に再発された
レスポールモデルである。発売されたモデルは大きく分けて２機種で、５６年を彷彿
させるゴールドトップとハムバッキングを搭載したカスタムである。

しかし、この２種類のレスポールモデルは５０年代と大きく仕様が変更されていた。
６８年製はワンピースネック＆ボディーであったが、以降のモデルは７０年代のレス
ポールに代表される３ピースの通称パンケーキボディーに３ピースネックが採用された。
ハムバッキングピックアップが採用されたカスタムに対し、スタンダードモデルでは１９
７２年から１９７４年までの間に２１６本のイレギュラーな生産が行われ、正式なスタン
ダードでのハムバッキング仕様は１９７４年に限定約２２００本生産されたモデルまで
正式なラインナップは存在していない。次に生産されたのは１９７６年となり、この時点
でレギュラーラインナップへと今日に続く生産ラインが確立する。

今回ご紹介するレスポールは非常にユニークな仕様となっている。ヘッドストックのロゴは
７０年代中盤ごろに多く使用されている　i　のドット無しバージョンが使用され、３ピース
マホガニーネックでラージサイズヘッドストックが採用されている。そして、ヘッド裏には
”MADE IN USA”の刻印無しとなり、６９年までの仕様となるが、トラスロッドカバーに
”CUSTOM”を冠していることから、カスタムメイドであることがわかる。そして、ヘッド裏
には小さなボリュートがもうけられ、６９−７０年の仕様であることが考えられる。ちなみに
ポットのデイティングは７１年となっており、以上の物的証拠から、６９−７０年のスペックで
製作されていた物が、７１年にカスタムメイドとして組み上がったと考えることが出来る。

トップカラーは、ウォーターメロンと呼ばれる赤で、当時のES335TDで使用されていたカラー
となり、バックとネック裏にも当時のＳＧにて使用されていたやや濃いワインカラーとなっている。
ネックジョイントはピックアップ下にジョイント時の接着剤を逃す溝があるが、この仕様は
６９年から７４年まで採用され、いわゆるディープジョイントとは異なった構造を持っている。

１９９９年にクリスティーズにて開催されたエリッククラプトンのオークションには、目玉品として
ブラウニーが出品された。そんな中、ロットナンバー１５番　１９７０ｓ　GIBSON Les Paul
Customが出品されている。実はこのギターも同じカラー（赤）でありながら、レスポールカス
タムの仕様となっている。同時期に生産されていたカスタムメイド兄弟であることが考えられる。

まさにレジェンダリ〜！

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石橋楽器　渋谷店
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shibuya@ishibashi.co.jp

＜プロフェッサー岸本：プロフィール＞
平成8年入社。現渋谷店のサブマネージャー。
ヴェンテージギターに関しての知識はイシバシでNo.1！
プロミュージシャンもお得意様にとても多く、彼のマインドに惚れ込み
多数お店に通っていただいている。
また、英語力もまずまずの為、直接ギター工場のマスター・ビルダーと
話し合いする事も。彼自身のフェイバリット・ミュージックは
カントリーロック、ブルーグラス等。
「親切丁寧な接客」をモットーに、ヴィンテージギター、高額ギターの
ご相談等、いつでも渋谷店にてお待ちしております。