Ishibashi Mail Magazine Vol.20

EMERSON,LAKE & POWELL / EMERSON,LAKE & POWELL


 78年にアルバム「ラブ・ビーチ」をリリースしたあと、エマーソン・レイク&
パーマーはその長い活動を停止した。前年にオーケストラを従えて大規模なツアー
に出て順風満帆に思えたのもつかの間であった。

 80年代に入るとプログレはなかなか低迷期に入る。大御所バンドはこの時期に
殆ど解散か方向転換をしている時期で、この時期のプログレ・ファンは70年代に
発売されたアルバムを聞きあさるしかなかっと感じる。80年代半ばに入るとプログレ
界にも新たな動きが出てきた。このスーパー・バンド"EL&P”の復活である。
 しかし、プレスが騒ぎ立つにつれ、どうやら「P」はカール・パーマーでは無い
らいしいと言う事になり、発表されて超ビックリ!ハードロック界の渡り鳥ドラマー
コージーパウエル御大ではありませんか。

 まず、第一印象でコージーにEL&Pの楽曲が叩けるのかと誰しも思ったに違いない。
コージーは決して下手ではない。しかし、あまりにもかけ離れていたジャンルに
思えたので不安さえ思ったほど。その不安をこのアルバムを聞いた途端に吹っ飛び
ました。コージーのアメ車並みのドラムプレイが妙にマッチしているのです。
1曲目の”THE SCORE"などはライブのオープニングに持ってこいな曲であるのだ。
EL&Pのオープニングというと”HOEDOWN”と相場は決まっていたが、覆すくらいの
カッコイイ曲だ。コージー色が濃くなっているこのアルバムだが、ラストの曲も
コージーならではの楽曲と言えよう。

 この当時、どうしても動いているこのメンバーを見たく、ブートレッグ・ビデオ
を手に入れたことがある。するとビックリ、オープニングは”THE SCORE”だったし
名曲”KARN EVIL 9"もしっかりコージーが演奏しているではないか!しかも、あの
オーバーアクションも健在で、カール・パーマーも良いけどこれも有りと痛感。
しかも、その映像の中でアルバムラスト曲”MARS,THE BRINGER OF WAR"の途中から
コージーのドラムソロとなる。そしてまたビックリ!コージーがエレドラを叩いて
いるのだ。当時、一世を風靡した「SIMMONS」のエレドラを2バスにして・・・!
バンドが変わればここまで変わるのだと超ビックリいたいしました。

 しかし、やはりこのバンドもアルバム1枚で終了(笑)よくあるパターンとは
いえ早すぎるではあ〜りませんか!そしてこの2年後、今度はグレッグ・レイク
抜きで「3」なるバンドを結成して、こちらもアルバム1枚で消滅している。トホホ。
 この、なんだったんだと言う時期を抜け出し、92年にいよいよエマーソン・レイク
&パーマーがシーンに復帰してくる。そして再来日も果たした次第です。

 とにかく低迷期にリリースしたアルバムではあるが、これも歴史に残るアルバム
と私は信じている。最近はリマスター化され、紙ジャケ仕様になって再発された。
とにかくこの1枚を聞け! 損はしないぞ!


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