ジェネシスの中心人物でもあったピーター・ガブリエルがバンドを脱退したのがこのライブの 約一年前の75年のことであった。バンドはカリスマ・ヴォーカリストを失い、新たな方向性を打ち だしていかなければならない時期にさしかかっていた。そんなときにヴォーカルに名乗り出たのが ドラムのフィル・コリンズであった。この映像はそのフィル・コリンズがドラマーからジェネシスの ニュー・ヴォーカリストになっていく重要なキーポイント・ライブでもある。
また、フィルがヴォーカルになったことでジェネシスは新たにドラマーを探さなければならなく なり、抜擢されたのがこの映像でドラムを叩いている、奇才ビル・ブラッフォードであった。 キングクリムゾン、イエスとプログレの歴史的バンドを渡り歩いてきた彼が叩くことで、バンドの 音は更に引き締まり、最高のサウンドに仕上がっている。そして、忘れてはならないギターリストは スティーブ・ハケットである。彼しか出すことの出来ないロングサスティーンのサウンドは ハケットがメインで使用しているのがレスポールのゴールドトップから生まれていた。独特の フランジング・サウンドは正にジェネシスのサウンドの基本でもある。ラストの曲の”Los Endos" でその効果が良く表れている。
そして、オリジナルメンバーのベース、マイク・ラザフォードが使用しているWネックベースは この時代最も話題を呼んだギターで「Shergold Guitars」社製のマイクラザフォード・モデルである。 このギター、上部のギターと下部のベースがアタッチメントのように取り外すことが出来、上部を 12弦ギターに変えて使用することもあった。とにかく当時にしてはトンでもなく未知のギターで あったことは間違いない。(写真参照)
そして、キーボードのトニー・バンクスを忘れてはいけない。ヴィンテージマニアが見たら、 欲しくてたまらない様な鍵盤を数多く使用している。(写真参照)基本はメロトロン、ハモンド のT-102に加え、この時代はARPのPro SoloistにRMIのERECTRA368というエレピを使っていた。 このRMIはイエスのリック・ウェイクマンも多用しており、この当時のプログレバンドには ハモンドとあわせて無くてはならない物となっていたようだ。後にヤマハのCP-70の出現でこの RMIの影が薄れていくのも次代背景といえる。 そしてブラッフォードのドラムはラディック、たまにフィル・コリンズも叩くときがあり その時は昔ながらのプレミアのセットである。この映像の中でも”The Cinema Show"の曲中や ”Los Endos"の中でも、ブラッフォードとのドラム・デュエットが聞くことが出来る。
しかし、この感動的なライブを演奏するメンバーもこの年のたった半年で終了。ドラマーには 後任にチェスター・トンプソンが加入し、名物ギターリストのスティーブ・ハケットも翌年の 77年に脱退してしまう。そして新たなギターリスト、ダリル・スチューマーを加入させて、初の 来日公演を78年の11月に実現させることになる。
見に行ったライブの印象は、初めて見る”バリライト”と言う物に目が点になってしまうほど 美しかったのを記憶している。そして何よりもサウンドのクオリティーの高さは、この時代に 飛びぬけていた。そして、そのジェネシスが2007年に再結成されTOURに出ると言う。残念ながら ピーター・ガブリエルやスティーブ・ハケットは加入していないが、また日本で見れることを 願っている。"Supper's Ready"を完全版で聞きて〜な〜!
[IN CONCERT 1976 / GENESIS]
1.OPENING 2.I KNOW WHAT I LIKE 3.FLY ON A WINDSHIELD 4.CARPET CRAWL 5.THE CINEMA SHOW part two 6.ENTANGLED 7.SUPPER'S READY part two 8.LOS ENDOS
Michael Rutherford (Ba) Phil Collins (Vo&Dr) Tony Banks (Key) Steve Hackett (Gt) Bill Bruford (Dr&Perc)
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 LDジャケット
 トニー・バンクスの機材。 右側のエフェクターも重要
 マイク・ラザフォードの Wネック「Shergold Guitars」
 こんな写真集もありました!
 ジェネシスのヒストリーLD。 良くわかります!
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