もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するのはスーパー・テクニック・バンド、BRAND Xが1977年に発売したセカンド・アルバム「MOROCCAN ROLL(邦題:モロッカン・ロール)」です。 このバンドを語るにあたって話しておかないといけないバンドがあります!それはGENESIS!! 英国を代表するプログレ・バンドで、ボーカルにピーター・ガブリエル、ベースにマイク・ラザフォード、ギターにスティーブ・ハケット、ドラムにフィル・コリンズ、そしてリーダーでもあるキーボードにトニー・バンクスで形成されている超有名バンドです。1969年に結成され、「NURSERY CRYME」、「FOXTROT」、「SELLING ENGLAND BY THE POUND」、「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY」というプログレッシブ・ロック史上に残る名盤を生み出したバンドであります。 バンドの中心的人物でもあったヴォーカルのピーター・ガブリエルは普通のヴォーカリストでなかったことを最初にお伝えしておきたい(笑)この時代存在した多くのプログレバンドのヴォーカルはいかにも神経質そうな感じであったが、ピーターはこの時代にしてはかなりカッ飛んでいたのです。逆モヒカン、ステージで宙吊り、はたまたキノコみたいな衣装と奇抜さではずば抜けていました。そのピーターが1975年にバンドを脱退してしまいます。 ここからGENESISの立て直しが始まります。スポークスマンを失ったバンドですが見事に立ち直り活動を続けていくのです。その転機となった1975年からバンドメンバーはソロ活動も同時に行うようになりました。ギターのスティーブ・ハケットは初ソロアルバム「VOYAGE OF THE ACOLYTE]を発売し、新たにヴォーカル/ドラムスとなったフィル・コリンズ布陣でGENESISもアルバム「A TRICK OF THE TAIL」を発売します。そのとき同時進行していたプロジェクトこそがこのBRAND Xなのです。 当初、BRAND Xのドラマーはビル・ブラッフォード(ビル・ブルーフォード)という噂もありましたが、キング・クリムゾンに参加していたこともあって、最終的にフィル・コリンズになったようです。BRAND Xの特徴は変拍子を巧みに使い、プログレッシブ・ロックというよりかジャズ・ロックやフュージョンに近いものがあったと感じます。そしてこのバンドで強烈なインパクトを与えるのがベースのパーシー・ジョーンズです。当時には珍しいフレットレス・ベースを駆使し強烈なテクニックで弾きまくっているのです。それに負けずとギターのジョン・グッドソールが速弾きしまくるという技巧派好きにはたまらないバンドと言えるでしょう。4曲目の“Hate Zone”や8曲目の“Malaga Viegen”などはまさに楽器合戦といったところです! 日本でのフィル・コリンズのイメージはチャートに上る“ポップス”を歌うシンガーというイメージがとても強いですが、実際にはスーパーバンドの技巧派ドラマーであることは意外に知られていないのが実に残念であります。そのフィル・コリンズも現在64歳になり、引退と復帰を繰り返しています(笑)またナント、あのスティーブ・ハケットはソロとして5月に来日公演を行うではありませんか!是非見に行かなくてはなりません。 皆さんもご存知かと思いますが、今年に入ってまだ1ヶ月しか経っていないのにイーグルスのグレン・フライ、R&Bシンガーのオーティス・クレイ、そしてあのデヴィッド・ボウイも他界してしまいました。自分の影響受けたアーティストがどんどん居なくなっていますが、そのことをしっかりと受けとめ、彼らが作った素晴らしい音楽をずっとずっと聞き続けていきたいと思います。とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |