もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するアルバムはジェファーソン・エアプレインの創設者でもあるMARTY BALINが1981年に発売したファースト・ソロアルバム「BALIN(邦題:恋人たち)」です。 1981年は音楽シーンに大きい転機をもたらす年でした。“MTV”(ミージック・テレビジョン)の出現です。 81年に開局したケーブルテレビ、"MTV”は24時間音楽映像を流す画期的なテレビ局でした。音楽に触れる手段としてはレコード、カセットテープ、ラジオという時代に、映像に合わせたミュージックビデオをいつでも見れるという現象は大きく音楽シーンを変化させたのです。 そして、81年を境にアーティスト側の音楽を作る方法も“映像ありき”という感じは否定できないと思うのです。チャートの上位にいるアーティストのミュージックビデオはどれも完成されたものでした。 このMARTY BALINもそのアーティストの一人であったと思うのですが、この方の凄いところは単なる一発屋でないという事。1965年、世はビートルズ旋風真っ只中のアメリカで、サイケデリック・ロックの筆頭としてデビューした、ジェファーソン・エアプレインの創設者なのです。60年代後半のフラワー・ムーブメントまでの間、そのジェファーソンをスターダムにのし上げた張本人と言っても過言ではないでしょう。 しかし、このアルバムにはその志向は一切ありません(笑)80年代に日本で流行った音楽ジャンル、アダルト・オリエンテッド・ロック(AOR)の仲間だったと思います。1曲目の“Hearts"がまさにその象徴でもあり、甘く切ない声にメローなメロディーラインはこの時代のお決まりフレーズなのです。 この“Hearts"以外にも、4曲目の“Atlanta Lady”などもAOR色全開の曲が収録されています。だた唯一、LEON RUSSELLが提供した“Elvis And Marilyn"などは昔のジェファーソン時代を思わせる雰囲気に仕上がっているところが実に面白いのです! そしてこの時代のヒット曲には、必ずと言っていいくらいに前記のミュージックビデオがセットとなっていたのです。また、どのミュージックビデオにも共通していることがあります。それは歌い手が物語の主役になって、歌詞に合わせたドラマ仕立てになっているという事。ミュージックビデオの製作費などいろいろのこともあると思いますが、良く出来ているモノもあれば、非常にチープなモノもあったのも事実です(苦笑) それでもこのMARTY BALINの“Hearts"のミュージックビデオは良く出来ている方だと思います(笑)アルカトラズ島を舞台にしたそのストーリーは確かに先が読めてしまう事もありますが、こちらも是非Youtube等でチェックしてみてください。歴史的に有名なMICHAEL JACKSONの“Thriller”や、a-haの“Take On Me”なども素晴らしいミュージックビデオでありますが、B級なミュージックビデオを見るのもとてもに面白いですよ。 今回のお話を書く際に久しぶりにMARTY BALINを調べてみたところ、なんとジェファーソン・スターシップのメンバーに戻り、現在もご活躍とのこと。ビックリです。ジェファーソン・スターシップと言うのは1970年代半ばにエアプレインから改名したバンドで、ものすごい人数のメンバーチェンジを繰り返しているバンドです。そのバンドにまた戻っているとは・・・なかなかの猛者です。(笑)とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |