もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するアルバムは過去にグラミー賞を最も数多く獲得しているバンド、U2の1988年に発売された「RATTLE AND HUM (邦題:魂の叫び)」です。 U2はアイルランド出身のバンドで、THIN LIZZYと共にアイルランドでは英雄扱いのバンドであるのです。デビューは1980年でファーストアルバム「BOY」に関しては国内で話題に上る程度のものでした。U2の特徴としてはその歌詞にあると思います。母国アイルランドは紛争が絶えない国であったこと事から、歌詞は社会問題や政治色が濃く、作品を発表するたびに話題になっていたほどです。 80年代半ば頃にはイギリスではかなりの人気を得ていましたが、U2の人気を全世界的に不動のものにしたのは、皆さんご存知である通算5枚目のアルバム「THE JOSHUA TREE」です。名曲“With Or Without You”や“I Still Haven't Found What I'm Looking For”を含む、正にロック界の歴史に残るアルバムなのです。 今回紹介する「RATTLE AND HUM」はそのU2が最も勢い付いた88年のアメリカンツアーの模様を収めた、同タイトル映像作品のサウンドトラック的なアルバムなのです。なぜサウンドトラック的かと言うと、このアルバムには9曲の新曲が含まれているのです。全17曲中、ツアーライブ音源が6曲、新曲が9曲、他のアーティスト曲が2曲と、単なるサウンドトラックで片づけてはいけないアルバムだと私は思うのです。 アルバム1曲目はナント、THE BEATLESの“Helter Skelter”のカバーでスタート! のっけっからテンションMAXでございます。そしてこのアルバムにはカバー曲がもう1曲収録されています。JIMI HENDRIXも演奏したBOB DYLANの“All Along The Watchtower”です。こちらもU2らしいアレンジでとてもカッコよく仕上がっているのです。当然ながら新曲である”Love Rescue Me”やアルバムのラストを飾る“All I Want Is You”などはホント涙が出るほどいい曲なんです。わたしの好きなパターンとして同じコード進行を続けて演奏し、エンディングになればなる程、盛り上がっていくパターンが物凄く好きなのです。そのパターンにガッツリとハマるのは”All I Want Is You”なのです。 そしてこのアルバムにはもう一つハイライトがあります。それはゲストです! 前記の“Love Rescue Me”はBOB DYLANとの共作ですがそれだけではなく、“Hawkmoon 269”ではBOB自身がオルガンを弾いているのです。そしてもう一つが先日他界してしまったB.B.KINGの参加です。“When Love Comes To Town”ではブルージーなギターに加え、渋いヴォーカルを聞かせてくれるのです。これだけでも有りえないアルバムですよね。 また、1989年に夢のようなライブが実現します。2度目のU2来日公演になんとB.B.KINGがゲストで参加しくれたのです。東京ドームで行われたこの公演を、幸運にも私はアリーナのステージ正面・前から2列目で見ることが出来ました(泣) U2はこの後、何回か観てはいますが、B.B.KINGにおいてはライブで見たのがこのライブが最初で最後になったというわけです。最近、レジェンダーリーなアーティストがよく亡くなるニュースが多くて少し悲しいですよね。 このアルバムはサントラ的なアルバムですから、モチロン映像である「RATTLE AND HUM」も発売されております。最初はモノクロでの映像で、後半ライブから一気にカラーになるというカッコいい演出もされていて、曲目ももちろん数曲多く収録されています。まだ見たことが無いという方は、こちらから体感してもらうのもイイですね。間違いなくカッコよさがガンガン伝わってきますから! とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |