もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するアルバムは80年代のMTVシーンで一躍話題となっていたHUEY LEWIS AND THE NEWSが1982年に発売した「PICTURE THIS(邦題:ベイエリアの風)」です。 ヴォーカリストでリーダーでもあるヒューイ・ルイスはなかなかの苦労人であった。1950年生まれのヒューイ・ルイスは白人でありながらR&Bやブラック・ミュージックをこよなく愛し、自身の音楽活動も黒人音楽寄りのサウンドを突き詰めていた。1972年にHUEY LEWIS AND THE NEWSの前進ともいえるバンド、クローヴァーを結成。このバンド自体はパッとしなかったが、あるミュージシャンのバックバンドに抜擢される。そのミュージシャンこそがエルビス・コステロであった。ニューウェイブシーンの台頭も重なり、活動が増えていく中、更に大物に出会うのである。 その大物こそがTHIN LIZZYのフィル・リノットであった。ヒューイの持つ音楽性に惚れたフィル・リノットはTHIN LIZZYのツアーサポートバンドにクローヴァーを同行させ、サポートのみならず、ヒューイにはLIZZYの曲の中でも得意であるブルースハープを吹かせた。その演奏はTHIN LIZZYの名盤「LIVE AND DANGEROUS」の”Baby Drives Me Crazy ”の中でシッカリと聞くことが出来る。曲中に行われるメンバー紹介の中でもしっかりフィルはヒューイ・ルイスの事を叫んでいるのである。 しかし自身のバンド、クローヴァーとしては人気も出ずイマイチ。バンドを解散し生まれ故郷のサンフランシスコに戻ることとなる。そして79年にクローヴァーのメンツも交えて、HUEY LEWIS AND THE NEWSを結成することとなる。結成当時は違うバンド名であったがデビューと当時にこの名前に改名したようだ。デビューアルバムはまたまたイマイチの成績であったが、2枚目に発売したこのアルバム「PICTURE THIS」は全米で大ヒット! アルバムに含まれている”Do You Believe In Love”は見事、全米TOP10入りを果たすのである。 まずこのアルバムは青空の下で聞くと更にテンションが上がる。1曲目の”Change Of Heart”のギターコード進行などはホントに気持ちよくさせてくれる要素がたっぷり。私ごとであるが85年にプライベートでLAに行ったときは、車の中で聞くカセットテープ(古ッ!)の1曲目はこの”Change Of Heart”であった。カルフォルニアの青い空がホントよく似合うのです。もちろん、大ヒットした”Do You Believe In Love”も最高ですが、ラストに収録されている”Buzz Buzz Buzz”もドゥーワップっぽく実にカッコイイのです。 また、このアルバムにはなんとTHIN LIZZYのフィル・リノットも楽曲提供をしているのです! 3曲目の ”Giving It All Up For Love”がそれで、非常にPOPな仕上がりであるが、よく聞くとLIZZYテイストが含まれているのがまたまた楽しい。 HUEY LEWIS AND THE NEWSが日本の地を初めて踏むのは、このアルバムが発売された3年後の1985年。その時にはミリオンセラーの3rdアルバム「SPORTS」も発売されていたのでいきなり武道館4DAYSであったのを覚えております。当然、見に行きましたがタワー・オブ・パワーのホーンセクションも帯同させており、物凄くライブだったことを記憶してます。個人的にはこの時在籍していたベーシスト、マリオ・シポリナがとても気に入っており、グラサンをかけて黙々とベースを弾く姿がカッコ良かったです。 当然ですが、現在でもHUEY LEWIS AND THE NEWSは活動中。ヒューイは64歳になったと思います。相変わらず拳を握りながら歌っていることでしょう。来日したらまた見に行きたいナ。とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |