Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け! [SAINTS & SINNERS / JOHNNY WINTER]



 月中に次のメルマガのCDコラムは何を書こうかと悩んでいる最中に彼の訃報が飛び込んできた。また一人歴史に残るギタリストがこの世を去った。今回は”100万ドルのギタリスト”、ジョニー・ウインターの1974年に発売された「SAINTS & SINNERS(邦題:テキサス・ロックンロール)」を紹介しよう。

 ジョニー・ウインターのデビューは1968年。活動は60年代初頭から行っていたが、当時としては遅咲きのデビューであった。ギタリストとしてはジミヘンが君臨していた時代に、レコード会社の契約金が高額であったことから”100万ドルのギタリスト”と呼ばれているようである。そのジミヘンがピークを迎えていたウッドストック(音楽フェス)に、ジョニー・ウインターも出演し話題となっているのだ。

 ブルースは黒人が奏でるものされていた60年代に、ホワイト・ブルースなる新たなジャンルを築いたのも彼と言っても過言ではない。また、彼のギターのプレイスタイルも独特である。普通、エレキギターを演奏するときにはティアドロップ型かオニギリ型のピックを使うが、彼はフォークギター(アコースティックギター)を使う時に使用するサムピックを使い、人差し指と中指も多用して弾くのである。時にはピックを使わないときもあったと言われている。

 ギターは決まってギブソン・ファイヤーバード。”Mr Firebird”と呼ばれるほどこのギターが似合う男である。60年代にはSG等も使っていたが、やはり彼にはファイヤーバードが似合う。ただ、このアルバムの裏ジャケにはギブソン・Wネックを持っているレアな彼も写っているのだ。

 また、スライド・ギターをプレイする時には通常のスライドバーではなく、金属パイプを切って作ったものを使っていたという。全てにおいてブルースが漂っているところが何とも言えません(笑)

 このアルバムを作った時代のジョニーは極度のドラッグ中毒と言われている。しかし、その微塵も感じさせないほどサウンドはドライブしている。アルバムのプロデュースは71年にリリースしたアルバム「JOHNNY WINTER AND」でバンドメンバーでもあったリック・デリンジャーが担当。弟でもあるエドガー・ウインターもキーボードで参加している。オリジナル曲も収録されているが、チャック・ベリーやストーンズのカバーも収録されているがこのアルバムの魅力でもある。

 その中でも最も好きな曲は9曲目に収録されている”Bony Moronie"である。50年代のクラシック・ロックンロールであるが実にジョニー風にアレンジされている。そして速弾きも決まっているのです!速弾きと言っても今のスタイルではなく、ブルーノートの速いヤツなんです。サイコ〜です。(笑)そして、この曲は76年に発売される「CAPTURED LIVE (邦題:狂乱のライブ)」の1曲目に収録されています。こちらのヴァージョンもフェイザーがガンガンに効いているサウンドで弾きまくっていますので、ぜひ聞いてみてください!

 ただ更に悲しいことに私は一度も彼を見たことがありません。1990年に初来日が決まり、チケットを入手しましたがあっけなく来日中止。そのあと3度ほど来日しましたが何故か見に行きませんでした。今年4月に来日した時も見ておけばよかった。後悔先に立たずです。

 気のせいか最近、自分の好きなアーティストが頻繁に他界します。残念なことだが、それだけ自分も歳を取っているのかと感じる今日この頃です。とにかくこの1枚を聞け!!
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