もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するアルバムはニューヨークが生んだロックンロールシンガー、ルー・リードが1973年に発売したコンセプト・アルバム「BERLIN」です。 ルー・リードと言えば、やはり思い浮かべるのはヴェルヴェット・アンダーグラウンドです。あのアンディー・ウォーホールがデザインした”バナナ”のアップのアルバムがそれですね。ヴェルベットを脱退したのが1970年で、その2年後にソロでの活動を再開しました。 このアルバムはソロになって通算3枚目ののアルバムです。この時代のアーティストにありがちな急ピッチでのアルバム製作で2年の間に3枚ものアルバムを制作しています。ライブも同時に行っているわけだから、いかに短期間でアルバムを作っていたが解りますよね。 冒頭にも言いましたがルー・リードはロックンロールシンガーです。同時に活躍していた同タイプのアーティストにデヴイッド・ボウイやイギー・ポップなどがいます。パターンとしては軽快なロックンロールをイメージすると思いますが、私が思うにルー・リードは少しダークなのです。特にこのアルバムはコンセプトアルバムであるため、アルバム全体が物語のようになっているのです。しかもメロディラインも少し暗く、アップテンポは1曲もなく全てメディアムやバラードで形成されているのも特徴的です。 プログレッシブ・ロック好きの私にとっては結構ツボにはまるアルバムでした。しかもプロデューサーにはピンク・フロイドの”The Wall”や”A Momentary Lapse of Reason”、”The Division Bell”を手掛けたボブ・エズリンが行っている。このLOU REEDのアルバムをプロデュースしたころにはピンク・フロイドとの関わりはなかっと思うが、どこか繋がっているんでしょうね!ボブはこの他にもアリス・クーパーやKISSの”Destroyer”なども手掛けているので要チェックです。 曲であるが、どの曲が良いとかではなく、このアルバムは全体の流れを来てもらうと更に良さがわかると思います。ビートルズのアビーロードのB面みたいなものです。(Here Comes the Sunから後全部という意味)そして、このアルバムには思いもよらない素晴らしいアーティストが参加しています。まずはクリームのジャック・ブルース、トラフィックのスティーヴ・ウィンウッド、無名だったころのトニー・レヴィン(ベース)なども参加しているところが面白い。 また、この時代のアルバムのアートワークは素晴らしい。全く手を抜いていないのです。CDを買ってももちろん解るが、アナログ盤で見るとその芸術性にびっくりするくらいの完成度なのです。 ルー・リードは最近、メタリカとのコラボレーション・アルバム「Lulu」を2011年に発売し、話題になっていた。そんな好調に思いえたルーであるが今年10月に肝臓疾患のため他界した。ここへ来てレジェンダリーなアーティストの他界が後を絶たない。 ソフトマシーンのケヴィン・エアーズ、ウッドストックで熱唱したリッチー・ヘブンス、元祖速弾きのアルヴィン・リー、アイアンメイデンの初代ドラマーでもあるクライヴ・バー、ドブロの魔術師・ボブ・ブロズマン、クラプトンとも共演したJ・J・ケイル、ユーライヤヒープ、スパイダー・フロム・マースのベーシスト、トレヴァー・ボルダー。そしてジョージ・デュークなど素晴らしいアーティストが2013年、旅立っていった。しかし、彼らの功績は音楽となって、その後世まで語り継がれることは間違いないであろう。とにかくこの1枚を聞け! そして今年1年ありがとうございました。また、来年もイカしたアルバムをガンガン紹介していきます。ヨロシクです。 by JS バックナンバー |