もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回ご紹介するアルバムはイギリスのハードロックバンド、UFO(ユー・エフ・オー)が1979年に発売したライブアルバム「STRANGERS IN THE NIGHT」です。 UFOのデビューは1960年代後期で、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルと同じ時期にデビューしている。しかし、前記のバンドと比較すると華やかさに欠け、本国イギリスでもあまり良い評価を得ていない。しかも、1971年には初来日も果たしているが、このライブは曰くつきで本来、人気バンド”THREE DOG NIGHT”のオープニングサポートとしての来日であった。しかし、そのTHREE DOG NIGHTはナント入国できず、入国できたUFOがいきなりヘッドライナーとしてライブを行ったそうだ。なんとも凄い時代である。 そしてその低迷期を経て、UFOにも兆しが見えてきた、それが、2代目ギタリストである”マイケル・シェンカー”の加入である。初代ギタリストとは違い、”泣きのフレーズ”を売りにしたそのテクニックは見る見るうちにファンを増やしたのである。 マイケル加入後のUFOはイギリスでも中堅どころのバンドにまで成長したのである。そのバンドに大きな転機が訪れる。1977年に発売したアルバム「LIGHTS OUT」が全米でチャートインしたのである。イギリスでも不動の地位を手に入れ、アメリカでも成功している、その代償となったのがギターのマイケルの薬物中毒である。よくあるパターンといって何だが、マイケルの症状は非常に重く、失踪しツアーに穴をあけるような状態であった。 このアルバムはそのマイケルが極限状態の中、録音された正に絶頂期(?)のUFOのライブと言える。収録は78年のアメリカンツアーの模様で、録音地は記載されていないがイリノイ州シカゴとケンタッキー州ルイビルといわれている。その証拠にオープニングMCで、”Hello Chicago! Would Yuo Please Welcome From England. U.F.O 〜!!”と言っている。これがまたカッコいいのだ。これからライブが始まるぞ〜っという、アオリも含まれている。 そして1曲目の"Natural Thing”が始まる。そのギターのリフは当時、タイムリーにこのアルバムを買った高校生の私には実にショッキングなことであった(笑)。そしてこのアルバムには捨て曲がまったく無い!”Only You Can Rock Me”でのポール・レイモンドのハモンドオルガンの音は完璧だし、”Love To Love”でのマイケルのギターは泣きまくっている。ハイライトは”Rock Bottom”での長いマイケルのソロパート!何回もカセットテープを巻き戻し、コピーしたものである。(古くてスイマセン) しかも、この収録されたツアー終了の直後に、マイケル・シェンカーはUFOを脱退している。脱退する最後のモガキとも言えるような演奏は正に歴史的な演奏と言えるのだ。 さらに笑える話がある。1999年にこのアルバムはエクスパンデット・エディションとして再リリースされる。そこで解った事なのだが、実はこのライブの1曲目は"Natural Thing”ではなかったのである(驚)。このツアーが行われた年に発売されたニューアルバム「OBSESSION」からの新曲、”Hot 'n' Ready”が1曲目だったのである。あのオープニングMCと1曲目のつながりに感動を覚えていた高校生の夢は破れたのであったのでした(笑)。言わばDEEP PURPLEの「LIVE IN JAPAN」のオープニングが”Highway Star ”ではなく、”Lazy ”だったぐらいのショックなのです。 いろいろなバンドのライブ盤が最近良く完全版でリリースされることがあります。このような事を考えながら聞くのも面白いかもしれません。とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |