もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
ジャケット写真 アナログ盤は最初、黒いビニールでコーティングされてました。 こんな素晴しいポスターも入っていたのです! | いや〜ッ、遂に100枚目のご紹介となります。毎回独断と偏見で選んできましたが、このコーナーが始まったときから、100回目にはこのアルバムを紹介したいなと思っていたアルバムがPINK FLOYDの超名盤「WISH YOU WERE HERE」です。えッ? 「THE DARK SIDE OF THE MOON」じゃないのと思う方もいると思いますが、私の中ではこのアルバムが生涯ベストなんです! 73年に「THE DARK SIDE OF THE MOON」を発売後、いままで以上にライブ活動も活発化し、大物バンドの仲間入りを果たしたPINK FLOYDであったが、「THE DARK SIDE OF THE MOON」のとてつもない仕上がりに次のアルバムに強烈な期待がかかっていたのは言うまでもない。 それをあっさりと打ち消した本作は前作「THE DARK SIDE OF THE MOON」に比べると、まずギターのフレーズが妙にブルース臭い。ここがまず素晴しい! ギターのデイブ・ギルモアはタメが上手い。イエスのスティーブ・ハウと比べると手数も大幅に少ないが、タメて弾くという部分ではプログレ界ではナンバー1ではないだろうか。 PINK FLOYDは元々サイケデリックなバンドであった。デビューからギタリストとして君臨していたのが、シド・バレットという人物で、正にカッ飛んだギタリスト&ヴォーカルであった。2枚目のアルバムまで参加していたがドラッグ中毒でボロボロになり脱退。その後任として迎え入れられたのがデイブ・ギルモアである。ストラトキャスターを駆使し、WEMのアンプから出るファズ・サウンドは宇宙的で独特のサウンドであった。 このアルバムでもそのギルモア・サウンドが炸裂している。PINK FLOYDファンはギターのデイブ・ギルモア派とベースのロジャー・ウォータース派に分かれるが、私は完全に前者である。なのでギターが多くフューチャーされたこのアルバムは正に私のフェイバリット・アルバムでもあるのです。 タイトル曲でもある”Shine On You Crazy Diamond”には有名な話がある。このアルバムはビートルズで有名なアビーロード・スタジオで録音された。ある日、レコーディング中にある人物がふらりとスタジオに訪れた。太った中年男性に見えたが、メンバーにはそれが誰だか解らなかったという。後で解ったことだがそれが変わり果てたオリジナルメンバーのシド・バレットであったという。その変わり果てた悲しみからこのアルバムはシド・バレットに捧げられた物となったという。ちなみにタイトル曲の邦題は”狂ったダイアモンド”である。 また、このアルバムにはもう一つ注目したい点がある。当時、イギリスでカリスマ的存在であったシンガーソングライター、ロイ・ハーパーが”Have A Ciger"という曲にヴォーカルで参加している。ギルモアやウォータースの声質と違い、粘っこい歌声はまさに必聴である。 そして残念なことであるが現在、PINK FLOYDは存在しない。2005年に奇跡的にあるイベントで再集結したのを最後の終止符を打っている。翌年にはシド・バレットが他界、2008年にはこのアルバムで幻想的なキーボードを弾いていたリック・ライトが癌のため他界している。ただ、2011年5月にロジャー・ウォータースのソロライブにゲストでギルモアとドラムのニック・メイスンがひょっこり出てきて演奏を共にしたという。ファンとしてはどんな形であれ、もう一度その雄姿を日本で見たものである。それまではまたこのアルバムを聴くとします。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |