もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するCDはイギリスの代表的姉御バンド、プリテンダーズが86年に発売した4枚目のアルバム、「GET CLOSE」です。今回のこのアルバムは意外な展開から紹介することになりました。 プリテンダーズの中心人物でもある姉御、クリッシー・ハインドは元々イギリスの音楽紙のライターであった。そしてそのクリッシーの音楽的センスにまず目をつけたのは、大御所音楽プロデューサーであるクリス・トーマスであった。クリス・トーマスはあのセックス・ピストルズのたった1枚のオリジナルアルバム「Never Mind the Bollocks, Here's the Sex Pistols」のプロデューサーである。 そのクリスのバックアップでクリッシー率いる”THE PRETENDERS”は1979年にデビュー。ファーストアルバムの「PRETENDERS」はデビューで全英1位を獲得する。当然ではあるがこのアルバムのプロデュースももちろん、クリス・トーマスである。そのクリスも3枚目のアルバムまでプロデュースを続け、この4枚目の「GET CLOSE」ではジミー・アイオヴィンとボブ・クリアマウンテンに変わっている。この2人も当然ながら大物でU2、スティーヴィー・ニックス、ブライアン・アダムスとビックネームと仕事をしている。 今回、このアルバムを紹介しようと思った原因は先日行われた、TM STEVENSによるベースクリニックでの出来事だった。TMが過去の参加したアルバムの中で印象に残った曲を何曲か紹介するコーナーがあった。その中にこのアルバムに収められている名曲”Don't Get Me Wrong"があったのだ。TMは”この時、俺このバンドに在籍していたんだ”と発言。私はこのアルバムを古くから所有していたが、TM STEVENSがバンドに在籍していた事を知らなかったのだ。オリジナルメンバーのギターリストは急死してるし、とにかくプリテンダーズはメンバーの入れ替わりが激しかった。そんなことも関係しているのだろう。 アルバムでのTMのプレイは押さえ気味ではあるが、とても良い音を出している。スラップの凄さはモチロンであるが、ラインを弾かせてもやはり物凄いグルーヴなんですよね〜。そしてもう一人大物がこのアルバムには参加している。70年代一世を風靡したファンク集団「PERLIAMENT」の中心人物でキーボード、バーニー・ウォレルである。プリテンダーズとファンクとはあまり共通点がないようにも思えるが、その辺はかっ飛んでるクリッシー姉御ですから良いのです! TMも今回の来日はブーツィー・コリンズ・バンドでの来日であった事から、この辺からやはり音楽はつながっているんだなと思ったのです。なんといっても「PERLIAMENT」のベースはブーツィーですもんね。 プリテンダーズのヒット曲は数多くあるのが、特にこのアルバムに収録されている”Don't Get Me Wrong"は特別である。ニューウェイヴ色が濃かった初期に比べ、ポップ色がとても濃くなってきた80年代中期のバンドカラーが私は大好きである。余談であるがこの曲は日本のポップシンガー、Bonnie Pinkもカバーで歌っている。テイストは違うがこちらも聞いていただきたい。 そしてクリッシー姉御は現在も現役バリバリ。幾つになったかは定かではないが2005年にはバンドも殿堂入り。凄いとしか言いようが無い。ま〜クリッシーが居ればプリテンダーズなんですけど。その証拠にだいぶ前からオリジナルメンバーは誰一人と居ないのです(笑)。そんな姉御パワーを今後も期待したいですね。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |