もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
暑くなってきましたね〜! この暑い夏の夜にこのアルバムはとっても適しています。今回紹介するアルバムは、リトルフィートが72年にリリースした2作目、「SAILIN' SHOES」です。 60年代後期にフランク・ザッパのバンドでプレイしていたギタリスト、ロ−ウェル・ジョージが中心となり、バンドは69年に結成されている。当初、バンドは全く軌道に乗らずファーストアルバムは泣かず飛ばずでこの2作目のレコーディングを迎える事となる。 前作と大きく変わったところはプロデューサーに”テッド・テンプルマン”を迎える事となるが、この名前を聞いてオオッと思う人はやはりご年配の方か・・・(失礼)。リトル・フィートの所属レーベルでもあったワーナー・ブラザーズの専属プロデューサーであったテッドが迎えられたのは何の不思議も無いが、この後テッドは凄いバンドを育てる凄腕プロデューサーとなる。その代表的なバンドが”ヴァン・ヘイレン”と”ドゥービー・ブラザーズ”である。 リトル・フィートの音楽性はブルース、カントリー、ジャズ、ロックと全ての要素を取り入れており、今で言うミクスチャーということにもなる。1曲目から軽快なリズムで、広がりのあるハモンドオルガンのサウンドがまさにアメリカという感じさえもする。 そして中心人物のロ−ウェル・ジョージの魅力はなんといってもスライドギターと独特な声質にあると私は思う。同じスライドギターでもオールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン・オールマンとはタイプが違うような感じもする。そして独特な声質はこのアルバムの6曲目に収録されている”A Apolitical Blues”で十二分に発揮されている。余談であるが、この”A Apolitical Blues”はサミー・ヘイガーが加入しヴァン・ヘイレンの「OU812」にもカバー収録されているので聞いてみてください。 バンドはこのアルバムで勢いをつけ、翌73年に「DIXIE CHICKEN」という名盤をつくることとなる。このアルバムは「SAILIN' SHOES」のテイストにニューオリンズ・ミュージックや南部系の要素をたして、さらに泥臭くなったような仕上がりになっている。しかしロ−ウェル・ジョージの状況は必ずしも良いというものではなかった。それはこの時代のアーティストの十八番ともいえるドラッグであった。 リトル・フィートの昔の映像が幾つかあるが、どれもみなロ−ウェル・ジョージの顔色は良くない。しかし、そんな状況でもモノ凄いギターを弾いてしまうのが、この時代のミュージシャンなのかもしれない。ジミヘンもそうっだたしね〜! 70年代半ばになるとロ−ウェルの体調は更に悪化し、バンドを維持する事さえ難しくなってくる。そして、78年に集大成ともいえるライブアルバム「WAITING FOR COLUMBUS」を発売し、翌79年にはソロアルバムを立て続けに発売した後、バンドはあっけなく解散してしまう。さらにあっけない幕切れはこの年の6月にロ−ウェル・ジョージは心臓発作で34歳という若さで他界してしまうのだ。最近、他界してしまったエイミー・ワインハウスと同じ、オーバードーズが原因といわれている。 しかし、リトル・フィートはなんと現在でも活動を続けている。唯一残っていたオリジナルメンバーであったドラムのリチャード・ヘイワードも昨年8月に癌のため他界。今では初期メンバーは一人も居ないが、その独特の音楽性は生き続けている。がんばって欲しいオヤジパワー! とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |