もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回、紹介するアルバムは1976年に発売されたリンダ・ロンシュタットの”HASTEN DOWN THE WIND”です。邦題は「風にさらわれた恋」と当時良くあった、どうしたらこうなるのかというパターンのタイトルが付けられている。 リンダがシンガーとして活動を始めたのは60年代後半で、当初はバンドでのデビューであった。カントリーの要素を取り入れたフォーク・バンドであったが、ほとんど売れず69年に解散してしまう。だがヴォーカリストとしての評価は非常に高かったため、すぐにソロデビューとなる。 70年にはウエストコーストで女性ヴォーカルといえば、リンダ・ロンシュタットというくらいに知名度は上がっていた。そして71年には西海岸で腕利きのアーティストをバックバンドに揃える事となる。バンドのメンバーはドラムにドン・ヘンリー、ギターにバーニー・レドンとグレン・フライ、ベースにランディー・メイズナー。そうなんです! 後のイーグルスなんです。 この召集があって生まれたバンドがイーグルスなんてそれだけで歴史を感じるじゃないですか。リンダ自身、バンドの入れ替わったことでサウンド・スタイルも徐々に変わっていくのである。この生まれかわりこそががウエスト・コースト・サウンドの始まりといっても過言ではないのでしょうか。 73年に発売されたアルバム「DON'T CRY NOW」では、バックバンドでもあったイーグルスに敬意を表する意味といてイーグルスの名曲、”Deperado”も収録している。そして76年に発売されたこのアルバムもそのウエスト・コースト色満載といった感じに仕上がっている。このアルバムでのバック・ミュージシャンはアンドリュー・ゴールド、ワディー・ワクテル、ラス・カンケルと、この時代のウエスト・コースト・サウンドには無くてはならない人物を揃えている。また、バック・コーラスにはイーグルスのドン・ヘンリーやカーラ・ボノフ等も参加しているのだ。なお、このアルバムで76年のグラミー賞・最優秀女性ボーカル賞も受賞している事を付け加えておこう。 このアルバム発売の3年後、1979年にリンダは初来日を果たす。来日前年に発売された「LIVING IN THE U.S.A」は全米No.1アルバムになった事もあり、武道館2日間は瞬く間に完売となった。当然のことではあるが、私もその武道館公演に足をはこんだ一人であった。開演時間になり、ステージが暗転すると現れたのはアコギをもった一人の外国人男性。なんと、オープニングアクトがあったのである。この時代、外タレが来日すると日本のバンドがサポートを演ることはよくあったが、本国からサポートを同行させてきたのはとても珍しかった。そのときは誰だかわからなかったが、後でその男性がジェイムス・テイラーの弟、リビングストン・テイラーであることがわかった。 サポートの演奏が終了し、いよいよリンダのステージとなった。1曲目は何かと期待すると、このアルバムの中で最も私が好きな曲、” Lose Again ”からのスタートであった。まさに涙が出るほどの鳥肌もんでした。当然ですが”Deperado”、”It's So Easy ”、”You're No Good ”といった代表曲はもちろん、アルバム「SIMPLE DREAMS」に収録されているストーンズの”Tumbling Dice ”も演奏してくれたのには参った!ホント懐かしい思い出です。 80年代にはいるとリンダはジャズっぽい音楽性に方向転換してしまい、まるっきり聞かなくなってしまったが、リンダは今ももちろん現役である。今年で64歳になったと聞いているが、まだ” Lose Again”は歌っているのだろうか? 昨年、70年代のアルバムがほとんどリマスター化されました。もちろん私も買いなおしていますが、聞いてみる際には是非こちらを!ほんと、いい音になってます。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |