もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
HUMBLE PIEは1969年、ピーター・フランプトンによって結成されたイギリスのバンドである。そしてこのバンドのキーマンはヴォーカル&ギタリストである、スティーブ・マリオットなのです。その、マリオットの話をまぜながらこのアルバムを紹介したいと思います。 69年の結成当時からギターのピーター・フランプトンが在籍していた71年までのHUMBLE PIEは意外にアコースティックもありのバンドであった。しかし、この頃のHUMBLE PIEはあまり好きではない。POP色を濃くしたいフランプトンとロック色を濃くしたいマリオットで意見が分立、71年にバンドの創立者であるピーター・フランプトンは脱退する。こうなるとバンドは正にマリオットの方向性そのものになった。しかし、これこそが正にHUMBLE PIEだと私は思うのだ。 スティーブ・マリオットは1965年にスモールフェイセスをロニー・レインと共に結成。スモールフェイセス解散後にフランプトンとHUMBLE PIEを結成する。彼の魅力はなんと言ってもその声にある。ヒステリックな高音ばかりのハイトーンヴォイスではなく、シャガれた心地よいハイトーンヴォイスがその魅力である。特にライブで発揮する声はただものではない。 その声の魅力は当然このアルバムにも表れている。エディー・コクランの名曲”C'Mon Everybody”が4曲目に収録されているが、演奏はハードドライヴィングでヴォーカルは良い感じでシャウトしてくれている。他人の曲であるがしっかりバンドの音に仕上げてしまっているところが恐ろしい。他にも74年に発売したあるばむ「Eat It 」のなかにもライブヴァージョンのカバー曲が収録されている。こちらはストーンズの「Honky Tonk Women」であるが、こちらはライブのため更にシャウトしていて超カッコイイのです。 HUMBLE PIEのもう一つのポイント、それがギターのクレム・クレムソンである。これといって速弾きをするでもなく、ギンギラ派手派手の衣装というわけでもないのだが、非常に味のあるギターを弾く。バンドは75年に解散するのだがベースのグレッグ・リドリーと渡り鳥ドラマーのコージー・パウエルと一時、クリームのようなバンドを結成するが当然、長続きはしなかった。また、この時期クレムソンはリッチーが脱退したばかりのディープ・パープルへ加入したがっていたそうだが、後任はトミー・ボーリンになり落胆した事は非常に有名な話である。 HUMBLE PIEは2度ほど再結成を繰り返すが過去の栄光はほとんど取り戻す事が出来なかった。そして、マリオットは91年に再びピーター・フランプトンと活動を共にし、HUMBLE PIEが再結成かと思われた矢先、自宅にてタバコの不始末で焼死してしまう。実にロックミュージシャンらしくない死に方であった。そして、その2年後の2003年にはベーシストだったグレッグ・リドリーも他界している。バンドそのものがロックしていた!そんな、バンドなんです。HUMBLE PIE!とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |