もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
みなさんは「パブロック」というロックスタイルをご存知でしょうか? 70年代ころからイギリスを中心に生まれたスタイルである。70年代に入るとロックビジネスはより大掛かりになり、会場もスタジアムクラスで行うバンドが非常に多くなってきた。その反対をいったのがこの「パブロック」といえよう。 シンプルな曲、必要最小限のメンバー構成、シャープな演奏とどれをとってもスタジアムで演らなくてもよさそう。そもそも”パブロック”の語源もキャパの少ないホールやパブ(飲み屋)で演奏するスタイルから生まれた。そのパブロックの代表格バンドが今回紹介するDr.FEELGOOD である。 バンドはギターにウィルコ・ジョンソン、ボーカルにリー・ブリロー、ベースのジョン・B・スパークス、ドラムにジョン・マーティンという面子で1971年に結成される。メジャーデビューは1975年であるため、4年間下積みをしてきたところも実にパブロックしている(笑) 75年に1stアルバム「DOWN BY THE JETTY 」で衝撃デビュー。その音源は聞いていただくと解るがこれ以上削ぎ落とす物はないといえるくらいソリッドに仕上がっている。まず、Dr.FEELGOOD を聞いてみようという方にはモチロンこちらもオススメです。しかし、そこはこのコーナー! 少しマニアック度を増してみました。 今回紹介するアルバム「MALPRACTICE 」は1stアルバム発売後のわずか9ヵ月後、75年の10月に発売となっている。一発録りがほとんどのような感じであるため無理ではないと思うが、この時代、この様なスケジュールでアルバムを出すアーティストも少なくは無かった。そして何より収録曲の中でライブ定番の曲が数曲含まれていること! その中でも”Back In The Night”と”Don't Let Your Daddy Know"はどのライブでも大盛り上がりの曲である。更に特筆すべき事はやはりバンドの要、ウィルコのギターサウンドにあると思う。テレキャスターからカールコードでアンプに直結! そしてピックをほとんど使わず指でカッティングするそのサウンドはまさにDr.FEELGOODそのものであると思うのです。 バンドの勢いはとどまる所を知らずに加速していく。翌76年に発売するライブアルバム「STUPIDITY 」は遂に全英NO.1を獲得。バンドを不動の地位にしていくのであった。しかし、その喜びもつかの間、77年には中心人物でもあるウィルコ・ジョンソンが脱退してしまう。黄金期と呼ばれるのはほんの数年間であったが、ナントDr.FEELGOODは現在も実存するバンドなのです。ボーカルのリー・ブリローは1994年に他界し、オリジナルメンバーは一人も居ない。しかしその存続させるパワーは原点ともいえる”パブロック”にあるのかもしれない。 ギターのウィルコも今年でたしか63才になるのに、いまもロンドンのどこかのパブで演奏しているに違いない。また、日本であの奇妙な左右動き弾きを見てみたい物である。これはホントに見た人じゃなきゃ解らないほど奇妙な動きなんです。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |