もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
2010年5月16日、ロック界の大御所ヴォーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオが他界した。前年に胃がんの告知をし、闘病生活を送っていたが遂に帰らぬ人となってしまった。今回紹介するアルバムはメジャー・アルバムではあるが、あえて追悼という意味もこめて紹介したいと思う。 今回紹介するアルバムはそのロニー・ジェイムス・ディオをまさにスターダムにのし上げた、リッチー・ブラックモア率いるレインボーの通算3枚目のスタジオアルバム「 LONG LIVE ROCK 'N' ROLL」である。既に発売して32年も経つアルバムなのだが、古さを全く感じさせない音に仕上がっている。 わたしが始めてロニーを見たのは1976年の暮れに初来日を果たしたレインボーの公演であった。70年代、リッチーの在籍していた黄金期のディープ・パープルを見ることの出来なった私にとっては、まさにリッチー初遭遇であった。実家から凄く遠い武道館までやって来て、あのステージを見たときの感動は今でも忘れない。リッチーもモチロン凄かったのだが、ヴォーカルのロニーの存在は更に凄かった。この当時、アルバムとライブでは声が全く違うアーティストが多かった時代、アルバムとほぼ同じ声量、音域で歌うロニーは正にロック・ヴォーカリストの鏡であった。 78年、2度目の来日の際は風邪をひいて高熱があるにも関わらず、見に行った思い出もある。そしてその公演で新曲を披露した。それがこのアルバムのタイトルにもなっている” LONG LIVE ROCK 'N' ROLL”であった。また、初来日の時と同じメンバーはヴォーカルのロニーとドラムのコージー・パウエルのみ。ベースはボブ・デイズリーに、キーボードはディビッド・ストーンに変わっていた。この辺もリッチーらしくサラッと流したが、演奏力は更に向上したように思えたのは私だけではないであろう。 来日公演が終了したその数ヵ月後、このアルバム「 LONG LIVE ROCK 'N' ROLL」が発売となった。地元のレコード屋さんに予約をして特典でポスターをもらったのも鮮明に覚えている。そして、針をおとして一発目に登場したのがタイトル曲でもある。”LONG LIVE ROCK 'N' ROLL”であった。A面ラスト(レコード)の”GATES OF BABYON”では中世色が全開で、B面トップの”KILL THE KING”はライブのオープニング曲として有名であったが、イントロのアレンジが違っていたのには少しビックリ。そしてラストの”RAINBOW EYES”ではドラムレスのバラードと意外な展開で終わる。まさにハードロックの典型ともいえるパターンで終わってくれるアルバムであった。 ショッキングな事件はまだまだ続く。アルバム発売されたその年の暮れ、ロニーはバンドを去ることになる。バンドはアメリカで成功がためにPOP路線を取り入れていくその方向性に納得いかずに辞めたとも言われている。その後、レインボーはPOP色の強いハードロックへと新開していき、ロニーは2年後の1980年にナント、ブラックサバスのヴォーカリストとしてシーンに復帰してくる。この時代に良くあるバンド間の確執やいろいろな物が入り混じった真っ只中にいたような人物ではないだろうか。コージー・パウエルには負けるか?(笑) そのコージーも1998年に事故死し、このアルバムのメンバーのうち2名もこの世にいない。非常に残念なことだ。この30数年の間にレコードが無くなり、CDに時代は移り、今そのCDが売れない時代に突入している。これもまた残念なことだ。でもコレだけは言える。この1枚を聞け! バックナンバー |