もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
今回紹介するアルバムはイギリスを代表するプログレバンド、ジェネシスが76年〜77年に行ったツアーの模様を収めたライブアルバム「SECONDS OUT」である。 ジェネシスのデビューは69年であるが日の目を見るのは71年に発表したアルバム「Nursery Cryme」からである。日の目を見たといってもイギリス国内のみで、アメリカでは見向きもされない時代であった。今のジェネシスからは想像も出来ないくらいである。 上記のアルバム発売時のメンバーと今回紹介するアルバムのメンバーには大きな違いがいくつかある。一つはボーカルで、デビューから74年に発売したアルバム「The Lamb Lies Down On Broadway」までは奇才ピーター・ゲイブリエル(あえてガブリエルと言わない)である。ピーターは74年にソロになるためバンドを脱退。後任にヴォーカルを担当したのがドラムのフィル・コリンズであった。もともと5人組であったバンドもこの頃から76年までは4人編成でレコーディング等を行っている。 ただ、ライブにはやはりその音数の多さから4人では再現する事が不可能であることから、サポートドラマーを加入させフィルはヴォーカルに専念する事が多くなったのだ。サポートドラマーはチェスター・トンプソン。ここからチェスターはほぼジェネシスの中心ドラマーとして活動する事となる。 そしてもう一つがやはりドラマーであり、キングクリムゾン解散後プログレ界の渡り鳥ドラマーであるビル・ブラッフォードの参加である。群を抜いてのテクニックはもちろんの事、音色そのものもビルであることが解ってしまうほどの個性派である。なぜ参加したかは定かでないが、その共演はプログレ・ライブアルバム至上なかなか無い事であった。 収録曲のなかで最も注目すべき点はやはり、"Supper's Ready" の全収録である。73年に発売されたアルバム「Foxtrot」のB面(アナログ盤です)がそのまま収録されています。全編で20分を超える曲ではありますが、全く飽きさせないその展開はまさに脱帽でありんす。(JIN〜仁〜の見すぎです。笑) バンドはこの後すぐ、ギターリストのスティーブ・ハケットが脱退してしまい、オリジナルメンバーは3人になってしまう。その3人にドラムのチェスターと、サポートギターリストのダリル・スチューマーを加え、 78年に日本に初来日を果たしている。当然、中野サンプラザに私も見に行ったが、出来るならばこの「SECONDS OUT」のメンバーで見たかった。この初来日を見た方ならきっと誰しも思っている事ではないだろうか。 また、77年にこのLPが発売された時、小遣いを握り締めレコード屋に買いに行くとジャケットの美しさにビックリしたものだ。この時代のLPジャケットは皆、つや消しの紙質だったのに対し、この「SECONDS OUT」は光沢のある高級そうな紙で作られていたのに驚いたのである。今では何てことない事であるが、コレだけで新鮮な気持ちになれたのが非常に良い思い出となっている。 そしてこの2009年12月23日にこの「SECONDS OUT」がリマスターされ、紙ジャケ化され32年ぶりに戻ってくる。果たしてジャケはあの当時感じたままであってくれるのか? そんな楽しみを持ちつつCD屋に足を運びたいと思います。とにかくこの1枚を聞け! そして来年も夜露死苦です!! バックナンバー |