もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
1977年は正にパンク元年とも言える年であった。イギリスで76年に結成されたセックス・ピストルズがデビューアルバムを発表したのが77年。この時代はツェッペリン、キッス、エアロ等のハードロック勢がシーンを独占していたがイギリスではパンク・ムーブメントの波が押し寄せていた。 その衝撃的なピストルズのアルバムと同時期にこのストラングラーズの2ndアルバム「NO MORE HEROES」は発売されている。セックス、ドラッグ、ロックンロールを地でいっているピストルズに比べ、ストラングラーズはある意味危ない路線のパンクバンドであった思う。 その危なさと言うのはバンドの言動や動きであった。右翼に付けまわされることはしばしばで、いくつものバンドとの乱闘騒ぎに加え、あのストーンズの楽屋にも襲撃をかけたほどである。ピストルズのシドはジャンキーであったが、このバンドのメンバーは高学歴なのである事や政治的な臭いがプンプンする危なさなのである。 音の面でも他のパンクバンドと少し違う。多くのパンクバンドはやはりギターが屋台骨を作っているが、ストラングラーズにはキーボードがいる。それもオルガンと少しショボさを感じるシンセがこのバンドの特徴である。ギターリストはヒユー・コーンウェル、ベースはジャン・ジャック・バーネル、ドラムはジェット・ブラック、そしてキーボードがデイブ・グリーンフィールドである。その中でもギターのヒューとベースのジャン・ジャックが最も危ないッス。(笑) そして音楽的に私が惹かれたのはこのキーボードの音なのかもしれません。この時期私はプログレのEL&Pに物凄くハマっていましたのでそれが原因なのかな〜? 確かにピストルズのスティーブ・ジョーンズのギターの音はカッコイイのですが、このアルバムの”Dead Ringer”やCDにしか収録されていないシングル曲”5 Minutes”の音なんかは他にはない音に仕上がっているのです! そして何より凄いのはこのバンドがまだ存在しているのです。10月24日から公開になる映画「アンヴィル 〜夢を諦めきれない男たち〜」のなかで元ガンズのスラッシュが”30年続けているバンドはストーンズ、ザ・フー、そしてアンヴィルだ!”と言っている。だがこのバンドも35年もやっているのです。この年に生まれた者もオッサンになるんですよ?!(笑) 更にドラムのジェット・ブラックはこのアルバム発売時に既に30代半ばであるため、今では60代半ばと言うことになる。現在、ギターのヒューは居ないが相変わらず危ない路線を突き進んでいるのだろうか? 2007年には来日も果たしている。私がこのバンドを見たのが79年の後楽園ホール。客をぶん殴るはケツは出すわとやりたい放題であった。あれから30年!今もツアーを続けているこのバンドに拍手を送りたい。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |