もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
ウイッシュボーン・アッシュは70年にイギリスからデビューした元祖ツインリード・ギター・バンドである。最近ではあまり耳にしなくなったこのツインリードであるが、ウイッシュボーンのアルバムを聞けば一発でこの意味が解るほど、見事に完成されたギター・ユニゾンなのである。 70年暮れにアルバム「WISHBONE ASH」でデビューし、2作目はナントとの9ヵ月後に「PILGRIMAGE」71年秋に発売した。この時点でイギリス国内のアルバムチャート・TOP20以内にランクインを果たすバンドに早くも成長していたのだ。そして、72年5月にバンドのキーポイントとなるビックヒットアルバム「ARGUS」を発売することになる。 このアルバムでバンドのツインリードは確立し、アルバムはメロディーメーカー誌の年間最優秀アルバムにも選ばれることとなる。今回、紹介するCDはそのアルバム「ARGUS」を発売した直後にパリで行われたライブをBBCが録音していたものを90年代になって発売された音源なのだ。 だがウイッシュボーンには非常に有名なライブアルバムが発売されている。「LIVE DATE」という2枚組みライブで、4枚目のアルバムまでの曲をベスト的に集めた素晴らしいライブアルバムだ。ディープ・パープルで言うと「LIVE IN JAPAN」みたいなものである。 しかし、なぜその「LIVE DATE」を紹介せずにこの「BBC RADIO 1 LIVE IN CONCERT 」を紹介したのには訳があるのだ!ソレは演奏曲目なのです。アルバム「ARGUS」の1曲目に収録されている”Time Was”という名曲があるが、その”Time Was”は後に発売された「LIVE DATE」に収録されていない。曲の構成や雰囲気が上手く表現できないのか、後に演奏されたことがあまりない曲がこのアルバムに収録されているのです。しかも、アルバム発売間もなく演奏されていることから初演なのではないかとも噂されているのです。 また、このアルバムは正式なバンドのアルバムではなく、コンピレーション・アルバムなのにも関わらず、音質が非常によいところである。特に気に入っているのがベースのマーティン・ターナーのサウンドである。ギブソン・サンダーバードから出すブリブリの歪んでいるサウンドがとても心地良いのだ。この時代は今ほどテクノロジーが揃っていないのに素晴らしいサウンドを出すプレイヤーがとても多かったのも印象的だ。 74年になるとウイッシュボーンはツインギターの一人、テッド・ターナーが脱退してしまう。しかし、このあと加入することになるローリー・ワイズフィールドが味のあるストラト・サウンドで、もうひとりのギターリスト、アンディー・パウエルと非常に心地よいサウンドを生み出すのだ。70年代後半には頻繁に日本に来日するようになり、都下の街から都心のホールに私も気合で見に行ったのが懐かしい。 最近でもバンドは活動はしているようだがコレがまたヤヤっこしいことになっている。お家騒動なのかウイッシュボーン・アッシュを名乗っているのが2バンドいるのだ。アンディー・パウエルが結成している”ウイッシュボーン・アッシュ”とマーティン・ターナーが結成している”マーティン・ターナーズ・ウイッシュボーン・アッシュ”がそれだ。仲良くやればいいのに大人の事情がこのようなことを生んでいるのでしょう。ちなみにグランド・ファンク・レイルロードも同じようなことになっております。ど〜なってんだ! とにかくこの1枚を聞け!! バックナンバー |