もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
78年4月の武道館、チープ・トリックの初来日公演が行われた。意外とよい席(2階南スタンド3列目)がキープ出来、会場に入ると異様な光景が目の前にあったのだ。とにかく女子が多い!会場の7割以上が女性だと感じたのだ。それくらいこのバンドは当時、女性に大人気のバンドであった。 バンドのカラーは2分しており、今で言うイケメンとオッサンなのである。イケメン組みであるヴォーカルのロビン・サンダー、当時では珍しい12弦ベースのトム・ピーターソン。そしてオッサン組のギターのリック・ニールセン、、ドラムのバン・E・カルロスで、アルバムジャケットもこの二人で分かれているのが面白い! サウンド的にはハードロックとは言えないが”ハードなPOPバンド”のような感じで、アルバムを聞いた時には必ずライブは見に行くと決めていたのだ。このバンドは来日時、アメリカでは全く人気がなかった。ファースト・アルバムと2ndアルバム「IN COLOR」は全くといって全米ではヒットしなかった。そして3rdアルバムがこの「HEAVEN TONIGHT」であるが、このアルバムもアメリカ国内では激売れという状況ではなかった。しかし、日本では超売れしまして、初来日公演が武道館という快挙を成し遂げた。 まず、曲は全てと言っていいくらいキャッチーな曲に仕上がっており、1曲目の”Surrender”はシングル盤で大ヒット!曲中には”KISSのレコードで踊りまくる〜”というフレーズが出てきて、この時代をしっかり捕らえた曲でもある。また、”Auf Wiedersehen”ではハラキリとカミカゼという日本語までが登場する。しかもハラキリに関しては少し外人ナマリで”ハリカリ”と言っているのもなかなか笑える。しかし、当時の海外アーティストから見ると日本人のイメージはやはりフジヤマ・ゲイシャ、スシ・サシミなのであろうか・・・? そして武道館公演でもこの”Surrender”は当然演奏された。この曲のイントロではキーボード音が重なるのであるが、このバンドにはキーボードがいない。今ではシンクロさせてキーボード音を加えることなど何でもないことであるが、この時代には珍しいことであり何処からこの音が出ているのか不思議がっていたのも、懐かしい思い出である。 また、この時の武道館公演はライブ録音され、「at 武道館」として発売された。このアルバムは当初、日本のみの企画盤であったがアメリカ国内でも話題を集め、後にアメリカ国内でも発売された。そしてこのアルバムこそは全米で初めてTOP5に入り、チープトリック初のプラチナム・アルバムとなったことは有名な話である。 現在でも現役のチープトリックでツアーに明け暮れていると言う。70年代に活躍したバンドがいまだに頑張っているのは非常にうれしい事である。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |