もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
日本ではあまり馴染みのないバンド名であるが、アメリカでは売れに売れているバンドである。エミリー・ロビソン、マーティ・マグワイアと他2名によりテキサス州ダラスで89年、バンドは産声をあげる。しかし、メジャーデビューは1998年と遅咲きなのである。 日本ではあまり馴染みがないのがその音楽性にある。母体になっているスタイルがカントリー・ミュージックであること。アメリカでは基本になっている音楽スタイルであるが、日本ではまだまだ少数派の音楽スタイルである。アメリカの中でもカントリー・ミュージックはポップス路線の音楽とは違うファン層を持っていると私は感じるのだが、その境をまるっきりなくしたのがこのDIXIE CHICKSだと思うのだ。実際、私自身カントリー・ミュージックにはあまり興味がなかった。しかし、このDIXIE CHICKSのポップスを融合したカントリー・ミュージックを聞くことで”これもアリだな”と思ったほどである。 真のカントリー・ミュージック・ファンに言わせるとあれはPOPミュージックだというかもしれないが、そもそもあまりジャンル分けするのもいかがな物かと思う。そしてこのDIXIE CHICKSの魅力といえばやはり3人のハーモニーが完璧なところ。このアルバムでもその魅力を十分に発揮しておる。声にツヤがあるというか、すんなりと心に入ってくるメロディー・ラインなのである。さらに彼女達は皆、楽器の演奏が非常に上手い!マーティはフィドル、マンドリンを演奏、エミリーはギター、バンジョー、そして現在の中心人物ともいえるナタリーはリードボーカル、ギターを担当し、ライブではベースも弾いていることがある。そしてこのアルバムこそがDIXIE CHICKSの人気を頂点に導いたアルバムでもある。2000年のグラミー賞をはじめにあらゆる賞を獲得しているモンスター・アルバムなのだ。販売総数は1000万枚以上といわれている(凄い!) また、DIXIE CHICKSはいろいろな意味で話題豊富である。このアルバム発売時期には歌詞の内容が強烈ということでラジオ放送を見送られたり、最近ではナタリーがライブ中に、ブッシュ大統領の批判を行ったことでアルバムの不買運動が起こるのどなかなかアグレッシブである(笑)。しかし、その自由奔放さが人気の象徴でもあり、その言動に自信を持っているからこそ人気が維持できているのではないかと思う。 そしてこのバンドはまだ来日していないのだ。厳密に言うと現在のメンバーになる前(インディーズ時代?)の95年に熊本で開催されたカントリー・フェスティバルに来ているというが、やはりこの面子でなければ意味がない。日本で興行してもアメリカ国内で行うようなアリーナ・ツアーは出来ないであろう。来ても儲からないかもしれないが是非に来日して欲しい。マジであのハーモニーをこの耳で体感したいものだ。とにかくこの1枚を聞け! バックナンバー |