Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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TEASER / TOMMY BOLIN


 第4期のディープパープルが来日して今年の12月で31年が経つ。当時中学生だった
私は武道館までの道のりがやたら長かったのを覚えている。この公演そのものは
後でCDを聞いてみると散々なものであったが、当時はそんな事は欠片も感じず
とにかく「パープルを見た」と言う輝かしい記憶しかなく、トミーの印象も
リッチーより下手だな〜位にしか思っていなかったのが当時の感想である。
しかし、この一年後にトミーが他界してしまったのはとてもショックであった。

 このトミーのアルバム「TEASER」はそのディープパープル加入前に作成された
アルバムであり、パープルとはまるっきりかけ離れた音楽性で作られている。
バックミュージシャンも非常に豪華で、まだボズ・スキャッグスのバックバンド
時代でTOTO結成前のジェフ・ポーカロ、ジェネシスのフィル・コリンズ、ジェフ
・ベックとも活動を共にしていたヤン・ハマー、ナラダ・マイケル・ウォルデン
デヴィッド・フォスター、デヴィッド・サンボーンと物凄い状況になっている。

 トミーがパープルに入る前に居たバンドと言えば「JAMES GANG」だと言うのは
有名な話だが73年にリリースされたビリー・コブハムのアルバム「SPACTRUM」に
参加しており、このアルバムでもまたとてもジャジーなギターを披露している。
本来、トミーの好きなギタースタイルはディープパープルとはかけ離れたところに
あったのではないかと思えるほど違う物であり、この事からディープパープルと
言うビックネームにプレッシャーを感じ、オーバードラッグになったとも言われて
いる。

 実際、このアルバムのなかの曲「WILD DOG」はディープパープルの中でも演奏されて
いたが、他の曲とは非常に異なっているのが良く分かる。また、タイトル曲の「TEA
SER」は後にモトリー・クルーが演奏し、世に広めたのも記憶に新しい。
また、私のアイドル”グレン・ヒューズ”とも非常に交友が深く、パープルを脱退
したのも同時期であり、脱退後ソウルフルな路線を目指したのも一緒である。
数年前、トミー没後何年と言う時期にTOMMY BOLIN BANDの75〜6年頃のライブ音源が
多数発売されたが、これまた音質が非常に悪く買って損したと言うものが何枚かあり
直ぐに売りに出した記憶もある。

 トミーのギタースタイルは決して速い訳でもなく、エフェクターの使い方がスゴイ
訳でもない。しかし、ソウルを感じる事間違いなし。日陰のギターリストではあった
かも知れないが是非聞いた方がいい。更に加えるならばJAMES GANGの「BANG」と基本
中の基本、DEEP PURPLEの「COME TASTE THE BAND」は絶対に聞くべし。グレンヒューズ
のボーカルは、デヴィッド・カバーデイルを上回っているゼ!

by JS