Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


目次に戻る

この一枚を聞け! [THE TOKYO TAPES / STEVE HACKETT]



 前号のデイブ・ギルモアからギターリストアルバムつながりで今回はスティーブ・ハケットのこのアルバムを紹介しよう。ご存知、ジェネシスの元ギターリストである。元ナニナニというフレーズはプログレバンドでは良くあることなのだ。今後もいっぱい出てきますんで・・・ヨロシクです。

 スティーブ・ハケットは77年までジェネシスに在籍。名盤「Foxtrot」や「Lambs Lies Down On Broadway」などを世に送り出しているギターリストである。トレードマークでもあるレスポールから出されるサウンドは独特で、フランジング効果(*)を駆使し、幻想的なサウンドを作り上げるのが得意であった。ジェネシス在籍時にもピートコニッシュのエフェクターボードで強烈なインパクトを与えていたのだ。78年にジェネシス来日時にはじめて生音を聞いた時、衝撃が走ったのを覚えている。

 ジェネシス脱退後はソロ活動に専念していたが、80年半ばに元イエス〜エイジアのギターリスト、スティーブ・ハウと共にダブル・リードギターバンド”GTR”を結成。ポップス色の強い路線を打ち出していたが、相変わらずプログレバンドの悪い癖が出て超短命であった。その後はクラシック路線、ブルース路線と渡り歩き90年半ばにこのライブのスタイルに戻ってきたわけだ。

 そしてこのライブアルバムの元となるアルバム「Genesis Revisited」を96年に発売。注目はなんといっても参加メンバーである。クリムゾン、UK、エイジアのジョン・ウェットン、同じくクリムゾン・ファミリーからビル・ブラッフォード、トニ・レヴィン。そしてジェネシスの朋友、チェスター・トンプソンも参加しているプログレ好きにはたまらないメンバーなのだ。

 そしてこのメンツでライブを演りに日本にくるというではないか!ウェットン(Ba)、トンプソン(Dr)に加え、なんとキーボードとフルートにキング・クリムゾンの重鎮でもあったイアン・マクドナルドも来日するではないか。真っ先に見に行きましたよ。ジェネシスの曲のオンパレードはモチロンなんですが、なんとライブではクリムゾンの”The Court Of The Crimson King”やエイジアの”Heat Of The Moment”なども演ってしまうのです。私的にはスティーブハケットが”The Court Of The Crimson King”を弾くのはジミー・ペイジが”Black Night”を弾くようなもので物凄く抵抗あったのですが、そこはお祭りということで右から左へ受け流しました!

 このアルバムはその公演の模様がすべて収められているから、まさにベスト・ライブアルバムとも言えるでしょう。そしてこのライブは映像化もされている。見た事無い方は是非チェックしてみて下さい。また、ボーナストラックでライブでもハイライト曲となっているジェネシスの”Los Endos”がスタジオ録音で収録されている。ヴィンテージファンにもたまらない作りになってます。

 昨年、ジェネシスが再始動しました。残念ながらハケットは参加していませんが、ピーター・ガブリエルと共に参加して”Supper's Ready”再演してもらいたかったな〜。とにかくこの1枚を聞け!