もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
若干18歳でプログレバンド、カーヴド・エアーに参加。その後フランク・ザッパ、ロキシ−・ミュージックと渡り歩いてきた天才キーボーディスト、エディー・ジョブソンの83年に発売されたソロアルバム「ZINC」を紹介しよう。 エディー・ジョブソンの活動を一躍有名にしたのは78年に結成されたプログレバンド”UK”であった。メンバーはクリムゾンにいたベーシスト、ジョン・ウェットン、そしてビル・ブラッフォード、ギターには奇才アラン・ホールズワースというハイテクニシャン揃いの集団であった。とてつもない変拍子に加え、エディーのキーボードは光り輝くものがあった。また、エディーはエレクトリック・ヴァイオリンもプレイする。このスタイルが今までにないバンドサウンドを生み出し、一躍スーパーバンドとなった。しかし、バンドはセカンドアルバム制作時にはギターのアランとドラムのビルが既に脱退し、新たなドラマー、テリー・ボジオを加入させトリオで活動。一段と変拍子が増し、最も私の好きなバンドへと変化した。 その”UK”も79年にあっけなく消滅。プログレバンドには良くあることですが実に惜しいバンドでした。そして80年に入るとジェスロタルにも加入した事があったが、数年水面下で活動を続けるという状態だったと思う。時は80年代初頭。MTVなるものが世に出てきて、その真っ只中で作成されたのがこのアルバム「ZINC」。UKのようバンドカラーからはかけ離れた音楽であるがこれもまた一つのプログレだと私は感じる。ジョン・ウェットンが作ったエイジアの影響もあったのではないかともとれる。 このアルバムは別名「グリーン・アルバム」と呼ばれており、最初に買ったアナログ盤は確かグリーンのクリア・レコードだったと思う。そして収録曲の中に”ターン・イット・オーバー”という曲あるが、これがまたとてもPOPな仕上がりで、たしかPVも当時見た記憶がある。どっぷりプログレの世界にいた者が、時代の流れでPVまで作ってしまうという。MTV世代とはこのような怖さもまた兼ね備えていた。 そしてアルバムに参加している他のメンバーも名高いプログレアーティストは一人も参加していなくセッション・プレイヤーで固めているのも路線変更への表れであったに違いないと勝手に思い込んでいるのです。しかし、エレクトリック・バイオリンは健在だし、十八番ともいえるヤマハCPのピアノサウンドはエディーならではである。 この2年後に発売されるアルバム「THEME OF SECRETS 」もなかなかである。シンクラビア(*)を駆使した、環境サウンドのような音楽は非常に話題となった。90年代半ばにはUKが再結成されるなんて噂も出たが、あてになる情報ではなかった。最近はCMなどの音楽制作を行っているとも聞いた事がある。やはりライブであの華麗なヴァイオリン・プレイを聞かせてもらいたいものだ。 UK再結成されたら全公演見に行くんだけどナ〜 とにかくこの1枚を聞け! (*)シンクラビア:シンセサイザー、サンプラー、シーケンサーなどの音楽制作環境を統合した電子楽器。 |