Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け![CLOSE TO THE EDGE / YES]



 プログレが好きな方にとっては今さら語って欲しくないくらいの名盤、それがこのYESの「CLOSE TO THE EDGE」です。まず、お決まりのビックリする事は収録曲は3曲(LPではA面1曲、B面2曲)であること。

 71年暮れに発売されたこのアルバムの前作である「Fragile 」よりキーボードがトニー・ケイから奇才リック・ウェイクマンに交代している。この頃よりイエスはよりテクニカルになり、クラシック色も強くなってきている。イエスにとっても正にこの頃が黄金期。その黄金期真っ只中に作られたアルバムがこの「CLOSE TO THE EDGE」である。

 メンバーはヴォーカルにジョン・アンダーソン、ベースにクリス・スクワイヤ、ギターにスティーヴ・ハウ、そして前記のリック・ウェイクマンにドラマーはレコーディング後にすぐ脱退してしまうビル・ブラッフォードである。ちなみにブラッフォードは脱退後、キング・クリムゾンへの参加となっている。この頭脳集団の凄いところはテクニックは勿論であるが、ライブにおけるコーラスも半端ではない。その声の厚さはCSN(クロスビー・スティルス・ナッシュ)並みなのである。

 楽曲は長い曲のみであるがアンサンブル、メロディー、変拍子とどれをとってもワクワクするような展開ばかり。当然この曲全てがライブでの中心曲となっていた。1曲目のアルバムタイトル曲でもある”CLOSE TO THE EDGE”は18分を越える大作。ジャズ、ロック、クラシックと全てのジャンルを詰め込んだような曲だが起承転結がハッキリしており、私など何度聞いたか解らないほど良く聞いている。そしてビックリなのはこの曲をライブでは20分を越える曲に成長させ、クオリティーを落とさずにして70年代前半に演奏していたのだ。その能力だけでただただビックリ!(当然コーラスもですョ!)

 このアルバムの曲の凄さを更に体験したい人は「YES SONGS」というライブアルバムで確認してみるといい。更に輸入版でしか入手は出来ないが同タイトルの映像も発売されている(メルマガVol.7を参照)がこれもまた凄い出来栄えだ。

 余談であるが数年前の映画でジャック・ブラックが主演した映画「スクール・オブ・ロック」のなかで、ロックを知らない学生達に音楽を聞かせる為、CDを貸してあげるシーンがある。この中にキーボード担当の生徒に”この最強のキーボードを聞け”と「CLOSE TO THE EDGE」を渡すシーンがある。思わずニヤリとしてしまうのは私だけであったろうか!

 そしてゴタゴタ続きのYESのほうであるが今年、TOURに出るようだ。上記のメンバーではなく、ドラムにアラン・ホワイト。そしてキーボードはナント、リック・ウェイクマンの息子が参加するという。もう、なんでもイイという状態ではあるが、名曲”CLOSE TO THE EDGE”が再演されるなら是非見たいものだ。とにかくこの1枚を聞け!