Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け![TRILOGY / EMERSON,LAKE&PALMER]



 前回にご紹介したクリムゾンのアルバム「IN THE WAKE OF POSEIDON」が発売されたのが70年5月で、その5ヵ月後にエマーソン、レイク&パーマーはデビューしている。クリムゾンでもヴォーカルを務めていたグレック・レイクはこの時期重複してレコーディングしていたことになる。この時代のプログレ・バンドではあまりめずらしい事ではなかった。これもまた凄い!

 70年11月にEL&Pはアルバム「EMERSON,LAKE&PALMER」でデビュー。ナイスに在籍していたキーボード、キース・エマーソンと元アトミック・ルースターのドラマーであるカール・パーマー、そしてクリムゾンのグレック・レイクのギターレスのトリオということで、”スーパー・バンド出現”と音楽業界をにぎわせた。しかも、セカンドアルバムは「PICTURES AT AN EXHIBITION」はクラシックの代表作、3作目の「TARKUS」では20分以上にも及ぶ代表曲「TARKUS」を生み出した。

 そんなEL&Pが72年に発売した4枚目のアルバムがこの「TRILOGY」である。前作や前々作と大きく違うと所はプログレの代名詞ともいえる20分を越えるような大作が収録されていないところである。長くても8分程度とプログレ初心者でもじっくり聞ける作品ではないだろうか。そしてこのアルバムの中にはその後、EL&Pのオープニング曲として最もふさわしい”HOEDOWN”が収録されている。インストであるが疾走感があり、ハモンドオルガンで高速フレーズを弾くエマーソンのプレイに皆憧れたものだ。ギターリストで言うならばパープルの”HIGHWAY STAR”のリッチー・ソロパートみたいなものではないだろうか。

 このアルバムをはじめて聞いたのは中学2年の時で、なかなか面白い思い出もある。一曲目の”THE ENDLESS ENIGMA(PART 1)”の冒頭は非常に小さい音でMoog(シンセ)が鳴っているのだ。これを収録音が小さいと思い込み、音量を上げていく。しかし、いきなりデカイ音でピアノ鳴り、物凄くビックリしたのが懐かしい。また中学1年のとき、初めて買った洋楽LPがEL&Pの「BRAIN SALAD SURGERY」(73年発売)であったことからEL&Pへの思い入れは一際強いのである。

 もうあと数年早く生まれていれば72年後楽園球場で行われた初来日コンサートも見れていただろう。デビューして2年くらいのバンドがいきなり日本に来て、後楽園球場というのは、現代で言うならばデビューしたてでドーム2Daysみたいなものであろう。そしてこのライブの前座はポール・ロジャース率いるFREEであったことも特筆しておきたい。70年前半にはPINK FLOYDもYESも来日している。悔しいとしか言い様がないですナ!
 
 私が初めてEL&Pを見る事になるのはこの後、20年以上も経った90年前半に再結成したときのEL&Pであった。グレッグ・レイクはとても肥大していたがキースのステージ・パフォーマンスも健在、カールパーマーはドラムソロの時にやはり上半身裸になった。そんなお決まりの事が見れたことがとても幸せであった。しかも会場は中野サンプラザと小さいところで、座席は前から2列目!申し分ないライブだったのを覚えています。
とにかくこの1枚を聞け!