Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


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この一枚を聞け![NOVELLA / RENAISSANCE]



 プログレ界の歌姫”アニー・ハズラム”が在籍していた頃のルネッサンス、通算7枚目(LIVE除く)のオリジナルアルバムを今回は紹介しよう。ジャケットからしてプログレである。このジャケで既に聞く気を無くすなんていわないでね!!

 もともとルネッサンスはヤードバーズのギターリスト、”キース・レルフ”が作ったバンドで、元々はこのアルバムのようなスタイルのバンドではなかった。オリジナルアルバムを2枚出した後の70年初頭に中心人物の”キース・レルフ”本人が脱退してしまう。バンドは建て直しの意味も含めて、女性ヴォーカルを採用する事になる。それがこの後、バンドの中心人物となる”アニー・ハズラム”なのである。この時期ベーシストにクリムゾンのジョン・ウェットンも参加していたこともあったようである。

 そして第2期のルネッサンスが72年に「Prologue」を発表し、この頃からアルバムにストーリー性が出てきている。70年前半に数枚発表しライブも数多くこなしていくうちに、イギリスではトップバンドに成り上がってきた。そして75年にニューヨーク・カーネギー・ホールにてニューヨーク・フィルと共にコンサートを行い、3日間ソールドアウトにし話題を呼んだ。この年キーポイントになるアルバム「Scheherazade and Other Stories」を発表し、名曲”オーシャン・ジプシー”が生まれ、このアルバムは全米でもチャートインするほどになってきている。

 76年にオリジナルメンバーの”キース・レルフ”が感電死した事を乗り越えて、遂に翌年このアルバム「NOVELLA」が完成する。前作に通じるストーリー性をもっており、メロディーラインは更に磨きがかかった。バンドの持ち味とも言えるオーケストレーションは更に精度をあげ、クラシック・アルバムにも通じる所さえあるほど!1曲目の”CAN YOU HEAR ME?"は特に私のお気に入りで、アニー・ハズラムの声が非常に透き通っている。また、プログレのアルバムには無くてはならないジャケットのデザイン。イエスで言う”ロジャー・ディーン”ではないが、ルネッサンスもオリジナリティーあるアルバムデザインである。アナログ盤ならばインテリアにもなるほどの仕上がりといえよう。

 私の好きな70年代の日本のバンドに「NOVELA」というバンドがいる。そのバンド名も当然このアルバム名から取ったに違いない。しかも前作のタイトルも、この[NOVELA」のメンバーが元在籍していたバンド名になっている。(シェラザード)また、NOVELAのギターリストでもある平山照継が作ったバンド、”テルズ・シンフォニア”はライブで”オーシャン・ジプシー”などルネッサンスの曲を演奏していたことがある。日本にも影響受けているアーティストが数多くいる事は嬉しい事だ。

 ルネッサンスは2000年初頭に再結成して来日もしている。再結成ブームという訳ではないが、クオリティーを下げずに演奏できるのならこの年代のバンドが再び集まるのはとてもいいことである。また、来日してもらいたいものだ!とにかくこの1枚を聞け!