もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
アルバムジャケットからして怪しそうなバンド、それがシルバー・スターズである。70年後半に Bow Wowのライブによく前座として出演していた。当時、BOW WOWのファンクラブに所属していた 私であるが、ファンの間ではこのバンドはBOW WOWのメンバーがそのまま覆面をかぶって演奏して いると噂になっていたバンドでもある。 アルバムを聞くとまず、”これって山本恭司さんの声とギターサウンドじゃん!”と解りやすく ある意味ここまでなりきれば、これはこれで良いと思えるほど新しい事をやってのけている。 全編英語で歌っており、この時代あまり聞いたことのないリズムまで飛び出し、ジャズの名曲でも ある「TAKE FIVE」をゴリゴリのハードロック・ヴァージョンで演っているのだ。 また曲目は英記もしてあるのだが、何だかよくわからない漢字で全て表記してある。たとえば前記の 「TAKE FIVE」は”乱調五番”という風に表記してあり、これを考えた人はなかなかのアイディアマン であることも感心させられる。そして笑えるのがライナーノーツで、”SSP”なる秘密結社に連れ去ら れてインタビューを受けたという風になっている。これもまたバンドカラーとビックリ!(笑) 当然、このアルバムを最初に手に入れたのはアナログ盤であり、CDが欲しくてたまらなかった。 CDが発売されたのは90年初頭だったと思うが、この時期に私の中でも全く忘れかけた存在だった為、 欲しいと思った頃には既に廃盤になっていた。実際に入手できたのは90年も後半になった頃だと思う。 私が最初にこのバンドを見たのは78年11月に行われたBOW WOWのライブの前座であった。まさにBOW WOWと思いながらも見ていた記憶がある。その後、79年頃まで渋谷の東横劇場にてBLOW UPコンサートと 言ういろいろなバンドが出演するライブが開かれていて、そこにもシルバー・スターズは出演しており 見に行っている。このライブには他にもARBやBOW WOWの斎藤光弘氏のソロ・バンドなども出演していた。 彼らの特徴はまずMC無し。その上、フロントの3人は常に直立不動なのである。面白い! そして79年の11月にこのアルバムが発売されている。その発売の数日前、銀座博品館劇場にてワンマン ライブを行っている。当然、友人と見に行ったがこれがまた変わっていた!入り口に入るとまずスタッフ はみんな黒頭巾を被っていて、入場の際は私たちもその黒頭巾(オデコの部分にSSSの赤文字付)を被らさ れたのだ。この演出だけで他のバンドにはない雰囲気が出ていたが、それだけではない。通常のライブ では開演までBGMが流れているのもだが、彼らのライブは変な男の声が延々リピートされているだけ! 演奏が始まると当然、MC無しの直立不動演奏!まさにビックリライブでした。余談ですが私の後ろの席 には、YMOの高橋幸弘氏が座っていてこれまたビックリ! バンドは80年と81年にアルバムをリリースするがこのときは既にメンバーも入れ替わっており、5人 編成になって、覆面も取りサングラスをかけての演奏であった。81年に発売された「RAPE NOISE」と言う アルバムの発売後に行われたTOURの際、たまたま旅行先の京都・磔磔 でこの時のシルバースターズを 見ている。この時、あまりにも博品館で見たときのバンドと違っていた為、残念だった記憶もある。 今回何故このアルバムを書いたかと言うと先日実家に行き、泊まった際に自分のお宝箱の中から 前記の”黒頭巾”が出てきたのである。早速かぶってしまう自分も少々情けなかったが、この時の思い出 が今回の記事となった。最近ではこのアルバムも例のごとく、紙ジャケ・デジタルリマスター化され発売 されているようだ。とにかくこの1枚を聞け! |