Ishibashi Mail Magazine

もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー

「イシバシ・メールマガジン」初回発行以来、継続している人気コーナー”この1枚を聞け”の全てのバックナンバーを掲載しました。アルバム発売当時の時代背景やエピソードも満載!ややマニアックな一枚をもう一度要チェックです!


目次に戻る

CREATION / CREATION



 大好きなバンド”外道”のアルバム「JUST GEDO」が発売された同じ月に、以前より活動していた噂の
バンド”クリエイション”のファースト・アルバムが発売された。ギターの竹田和夫率いるこのバンドは
以前より”ブルース・クリエイション”という名前で既にアルバムも発売しており、知名度はかなりの
ものであった。”ブルース・クリエイション”はその名のごとくブルース色が非常に濃く、歌謡界から
路線変更を行ったばかりのカルメンマキも一時期は活動を共にしていたバンドであった。

 その”ブルース・クリエイション”が更にハードロック路線を全面に出してきたのが、このバンド、
”クリエイション”である。既にライブ活動はかなり行っていたバンドであるから、演奏に全くといって
不安が無い。デビュー前年に行われた幻のフェスティバル「ワンステップ・フェスティバル」でも
堂々としたステージを見せている。余談だがこのフェスティバルは1回しか開催されてなく、海外からは
ブレッカー・ブラザーズも参加したヨーコ・オノ・バンド、リタ・クーリッジなど、日本からも
クリエイションを筆頭に、キャロル、四人囃子、外道、沢田研二、サディスティック・ミカ・バンド、
鮎川誠率いるサン・ハウス、山下達郎率いるシュガーベイブなどといった物凄いメンツで行われた
コンサートである。場所は郡山で開催され数万人が集まった日本ではじめての大型フェスの始まりと
言っても過言では無いだろう。このフェスの音源も最近発売されたので、チェックしてみるといい。

 クリエイションの話に戻るが注目するはギター、竹田和夫のスーパー・テクニック。今聞くとオレにも
弾けるよという方もいると思うが、このテクニックを30年以上前に弾いていたということを忘れないで
欲しい。しかも、この時代の日本のバンドには珍しく全て英詩で歌われているところだ。こちらも今聞くと
かなり”日本語英語”であるが、発売された当時に聞いたときはこれが日本のバンドかと思わせた程だ。

 そしてバンドはこの翌年、マウンテンのベーシストでもあるフェリックス・パパラルディーと組んで
一枚のアルバムを発売するという、未だかつて日本のバンドがやった事の無いカップリングを行った。
スタイルとしてはやはりマウンテン色の濃いサウンドとなっていて、私としてはやはりファーストの方が
クリエイションらしいサウンドに仕上がっていると思う。

 そして76年4月にパパラルディーを従えてクリエイションはライブを行う。ここで初めて私はクリエイ
ションの生を体験することとなるのだが、ステージ上にベーシストが二人居るという異様なライブで
あった事と、とにかくベースの音がうるさくギターの音が良く聞き取れなかった気もする。やはりここは
外タレがバンド内にいるという事が影響しているんだろうと、当時勝手な解釈をしていた。
 このあとクリエイションはアルバムを出すごとにフュージョン色が強くなり、私の好みとはかけ離れて
いったため聞いていない。3枚目のアルバム「PURE ELECTRIC SOUL」までは私のお薦めである。

 最近、行きつけのCDショップに行ったところ、なんとこのパパラルディーと共演したクリエイションの
音源がCD化されているではないか!しかも紙ジャケに飾られて超ゴキゲン。がしかし、価格が高すぎる!
もう少し安ければ即買いだったのですが・・・ とにかくこの1枚を聞け!