もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
なんと言うロックなバンド名であろう。”外道”を初めて知ったのは私が中学 1年の時、悪友から「スゲェ〜バンドがいるぜ!」と見たことの無いジャケットの LP盤を見せられた。そのジャケットはダンボールのような紙で作られたもので 真中にスタンプのような物で、”外道”と書いてあるだけ。よく言えば無駄を 省いた強烈インパクト、悪く言えば超手抜きなジャケットが非常に新鮮に見えた。 そのアルバムこそが”外道”のファースト・アルバムであった。針を下ろすと (古い表現ッ)まず、ファンと思われる人が騒いでいる。これはライブなのか? そしてそのファンと思われる人が「オッ〜、そこのデブ走るんじゃねーヨ〜ッ」 とか聞こえてくるのだ。とにかく音が小さい! 少しボリュームを上げると超ビックリ。大音量で1曲目がスタートする。この曲 こそが、名曲「香り」である。ライブっぽくもあるがスタジオ一発録りにも聞こ えるのだ。 演奏の第一印象はこれ日本のバンド?と言う感じで、歌が入るとなるほどと思う のである。歌詞も非常にオリジナリティーあるものであるが、歌詞カードもそれほど 大したものが付属されてないので、あまり何を言っているのか解らないのである。 しかし、そんな事は打ち消すほどのドライブ感、疾走感が溢れている。 ギターの”ヒデちゃん”こと、加納秀人は正に”日本のジミヘン”と言っても 過言でないほどのギタープレイなのである。 そしてこの「拾得LIVE」ライブはその”外道”の 75年に京都拾得で行われた ライブを収録してある。イントロ部でドラムの中野良一とベースの青木正行が面白い 会話をしている。まず「みんなで”ボッ”って言ってくれる?」と言うと会場中が ”ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ”と言い始める。これは外道流の盛り上げ 方なのだが、それがまた変わっているのだ。しばらくするとヒデちゃん登場となり 1曲目がスタートする。当時はあまりエフェクターなど種類が出ていない時代に 4曲目の「天国への道」に使用しているフェイザーの音がとても美しく、当時私も フェイザーが欲しくてたまらなかったのを覚えている。そしてなんと言っても 発売禁止用語が多く、よく「ピー」という音が入っているのも面白い! アルバムは全9曲であるが最後の曲”ぶこんでやれ!”は、途中で曲が切れている。 この辺も当時には斬新なアイディアだったのではないであろうか。私自身、外道を この時代3回ほど見ている。初めてのライブは文化放送の公開録音、2度目は相模原 市民会館にて、3度目が吉祥寺曼荼羅である。どれも皆、外道の親衛隊でもある「外道」 という暴走集団がついてまわっていた。これがこの当時怖くてしかたなかったのも 良い思い出でもある。 そしてこのアルバムは数年前に紙ジャケ仕様になり、しかも完全版と称し曲数も増え 再発されている。音質もよくなっているので是非そちらで聞いて欲しいものだ。時代を 超えた良質のロックがそこにあります。とにかくこの1枚を聞け! by JS |