もう一度、この一枚を聞け! バックナンバー
デビューは73年という既に大ベテランのカンサスであるが、このバンドも非常に浮き沈みの 良くあるバンドであった。76年に発売したアルバム「Leftoverture」でブレイク、名曲"Carry On Wayward Son" を世に送り出している。しかもその1年後の77年にはカンサスを頂点にまで 導いた作品「Point of Know Return 」を発売、CMソングにもなった"Dust In The Wind" を 生んでいる。 その後ライブアルバム等を発売し、バンドはどこでライブをやっても超満員というビッグ バンドへと成長していくのだが、80年に入ると興行成績も思わしくなく、致命傷ともいえる メイン・ヴォーカルのスティーヴ・ウォルシュの脱退へと発展していく。となると以前の勢い は全くなかなり、時代の先端はAOR色の濃い音楽が主流となって、ジャーニーやREOスピード ワゴン等が全面に出るようになる。 カンサス自体は相変わらずプログレ色を濃くした楽曲から、アルバム成績は大変苦労した 時期だったと思う。 そして86年に変期が再び訪れる。良くある話だがヴォーカルのスティーヴ・ウォルシュの 返り咲きである。同年に発表したアルバム「Power」でそれはお目見えとなる。 そしてもう一つ大きく変わったことといえば、元ドレッグスのギターリスト、スティーヴ・ モーズの加入である。そのテクニックは超越しており、今までに無いカンサス・サウンドを 生んでいる。 そしてこのアルバム「In The Spirit Of Things 」の発売となる。1曲目の”GHOSTS”から 泣けるフレーズが連発。しかもギターソロ部分ではモーズのテクニックが炸裂しているのだ。 しかも、ウォルシュのヴォーカルも非常に伸び伸びと歌われている! これだけ凄い事を言っているのだから、さぞかし売れたアルバムと思いきや、このアルバムは 大したセールスではないのです。(大げさでスイマセン)しかし、隠れた名作とはこの事で 昔のアルバムにも匹敵するほどよいアルバムなのです。インナーに掲載している写真やイラスト などは、ピンク・フロイドに通ずるものがあるほど、アーティスティックに仕上がっている所も 注目すべき点であると思う。 そして、いまやその激テク・ギターリスト、スティーヴ・モーズはディープ・パープルの 3代目ギターリストとして活躍している。この時代にまさかパープルに加入するなんて誰が 想像できたであろうか。そして今でもカンサスは健在である。数年前来日していたが、小さい ホールで演奏し続けているカンサスもまた素晴らしい。ライブで”GHOSTS”なんか聞いたら チビるだろうな〜。 とにかくこの1枚を聞け。 by JS また、次回から日本のロックの古い作品をご紹介していきます。お楽しみに! |