この一枚を聞け![CAUGHT IN THE ACT / GRAND FUNK RAILROAD]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。第7回はアメリカが誇るハードロックバンド、 GRAND FUNK RAILROADが1975年にリリースした「CAUGHT IN THE ACT (邦題:グランド・ファンク・ツアー’75)」です。

 GRAND FUNK RAILROADと言えばデビューしたばかりの1960年代後期に、レッド・ツェッペリンのサポートアクトとしてツアーし、余りにもズバ抜けた存在感でトリのツェッペリンを食ってしまったというバンドとして有名になりました。1971年には早々に初来日をはたし、雷雨の中の後楽園球場(現東京ドーム)ライブは伝説のライブとなっているのです。

 オリジナルメンバーはギター&ヴォーカルにマーク・ファーナー、ドラム&ヴォーカルにドン・ブリューワー、ベースにメル・サッチャーという布陣のトリオ・バンドでありました。デビューの69年から1971年までの間に大ヒットアルバムを5枚も立て続けに発売し、この当時の大御所バンドにすぐさま上りつめたのです! 余談ですがマークとドンは基本、ステージではほぼ上半身裸です(笑)

 バンドは当初よりトリオでのサウンドにこだわりを持っていましたが、あらゆる音楽があふれる時代でしたので変化が必要となり、1972年にキーボードのクレッグ・フロストを加入させます。ココからのGRAND FUNK RAILROADが私のツボにドッぷりとハマる音楽性になっていくのです。1972年に発売された6枚目のアルバム「PHOENIX(邦題:不死鳥)」でそのバンドの地位を完全なものにし、翌73年に発売するハードロックの名盤である「WE'RE AN AMERICAN BAND(邦題:アメリカン・バンド)」で、アメリカを代表するハードロックバンドとなったのです。

 今回紹介するアルバムはバンドの勢いが最も絶頂であった1975年のツアーを収録したライブアルバムで、発売当時のアナログ盤は2枚組でした。このアルバムの中で私が一番好きな所は3曲目の“Closer to Home”と4曲目の“Heartbreaker”です。この曲は本来ほぼ繋がって演奏されていた曲なのですが、アナログ盤ではA面ラストに“Closer to Home”、B面頭に“Heartbreaker”でした。A面でフェイドアウトしてB面でフェイドインしていくと言う流れに非常に悩まされ高校生だった当時、どうしてもこの2曲をつなげてコピーしたかったのです。その悩みが解決するのは2000年に入り、リマスターCDが発売された時で、実に20数年が経過していた訳です(笑)

 またこの時代、マーク・ファーナーが使っていたメインギターはGibson L-5Sとベレノのアルミギターでした。このアルミギターが当時欲しくてたまらなかったのもホント懐かしいですね。40年以上楽器業界に居ますが、このギターは数回しかお目にかかったことがありません。それくらい希少品なのです。

 1970年〜75年くらいまではハードロックと言えばイギリス勢と相場は決まってましたが、1970年代中期からアメリカでのハードロック熱は増すばかりで、この後キッス、エアロスミス、テッド・ニュージェント、ハート、ヴァン・ヘイレンと多くのバンドデビューし、メジャーバンドへと駆け上がっていくのです。その起爆剤になったバンドこそがGRAND FUNK RAILROADと私は思うのです!

 ロックが進化し続けていた時代のバンドって本当に凄いと今でも感じます。先日、久しぶりに「ベスト・ヒットUSA」をテレビで拝見しました。しかし、チャートに上っているアーティストにバンドが居なかったのが残念でなりません。そんなこと思いつつ、このアルバムで気分上げていきたいと思います。とにかくこの1枚を聞け!!


【こちらももう一度聞け!!】
[PHOENIX / GRAND FUNK]