この一枚を聞け![LIVE / CARMEN MAKI & OZ]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。第5回は日本を代表する女性ヴォーカル、カルメン・マキ率いるCARMEN MAKI & OZが1978年にリリースした「LIVE (アナログ盤:ラスト・ライヴ)」です。

 洋楽ばかりを紹介していましたが、今回は高校生であった私が衝撃を受けまくった日本のバンド、CARMEN MAKI & OZ(マキオズ)の登場です。1974年にデビューしたマキオズは、日本語を母体としたブリテッシュな匂いがするハードロックバンドでした。当時は日本のバンドでも英詩にするバンドが多い中、唯一マキが発する美しい声質とハッキリとした日本語の歌詞がとても新鮮でありました。

 ファーストアルバムは勿論衝撃的だったのですが、それ以上に1976年に発売されたセカンドアルバム「閉ざされた街」は自分をロックにどっぷり浸からせたと言っても過言でないアルバムでした。大好きなプログレの匂いがプンプンで、しかも強烈に重いサウンドとくれば嫌いな訳が見当たりません。特にベーシストである川上茂幸のサウンドはマキオズの象徴でもあり、当時ベーシストであった私にとってジョン・ウェットンに続く、影響を受けたベーシストでもありました! とにかく凄い音なんです!!

 ただ残念なのはこのバンド、1977年にあっけなく解散してしまうんです。たった3枚のアルバムを残して...。しかも、私がバンドを最初で最後に見たのがこのライブアルバムの一部を収録していた1977年10月の新宿厚生年金会館でのライブでした。さらにその時は解散だと知らなかったと記憶しています。というか解散してからサードアルバムの「III」は発売されてますから(苦笑)。たった4年しか活動していなかったのにこれほど人の記憶に残り続けるバンドってなかなか居ないですよね!

 このアルバム、1曲目はインストの“君が代”で幕を開け、間髪入れずに“午前1時のスケッチ”へと移り、ワンコーラス後にいきなりベースソロへと入るのです。凄いでしょ(笑)ただこれはあくまでも次の曲へ移るイントロであって、ソロ終わりにベースのイントロで始まる名曲“崩壊の前日”へと導入していくのです。文章書いてるだけでカッコイイと感じてしまうのは私だけでしょうか?(苦笑)

 そしてこのアルバムには捨て曲は1曲もありません。MCひとつにしても当時の情景が良く浮かぶマキの喋りだし、オーバーダブされた感じは聞き取れないので、限りなくライブ感は伝わるのではないでしょうか。また、当時では珍しくバンドでPAと照明を所有し、これらを持ちまわってライブを行っていたというではありませんか!いまでは当たり前かもしれませんが、40年以上前の出来事ですよ!

 また、1979年に来日したイギリスのプログレバンド、U.K.の公演にて会場内でマキさんに遭遇し、テンパりながらサインをいただいたのがとても良い思い出です。私の名前まで入れていただいて、我が家の家宝になっているのは言うまでもありません。

 そして2019年には再結成ツアーが開催され、お世話になっているクラブチッタへ42年ぶりにマキオズを観に行ったのです。音を出した瞬間、涙があふれる自分がおりました。涙腺がゆるくなったともいえますが、ピンクフロイドを初めて見た時の感覚に非常に似ていたのです。それくらい凄いバンドがまだ日本に存在することも嬉しかったですね。2020年もエンタメが否定される世の中でありながらもツアーを開催してくれ、当然涙流しにクラブチッタへ行って参りました(笑)

 2021年はなんとフジロックへの出演が決まったそうです。若いロックキッズにマキオズの凄さを感じ取って欲しいですね、そんなこと思いつつ今一度このアルバムを堪能します。とにかくこの1枚を聞け!!

【こちらももう一度聞け!!】
[III / カルメン・マキ&OZ]