この一枚を聞け![LIVE DATES / WISHBONE ASH]



 今年は筆者であります私JSが、1970年代に衝撃と影響を受けたライブアルバムを紹介していきます。第4回はイギリスのバンド、WISHBONE ASHが1973年にリリースした「LIVE DATES(邦題:ライヴ・デイト)」です。

 WISHBONE ASHは1970年にデビューしたイギリスのバンドで、彼らを最も有名にした“ツイン・リード”というバンド形態は当時としては珍しいバンド形態でありました。主なバンドがリード・ギター、サイド・ギターと分けていた時代に、ハモった旋律をギターで奏でるだけではなく、ヴォーカルのコーラスも非常に厚かったのがこのバンドの素晴らしいところなのです!

 アッシュのオリジナルメンバーはギターにMr.FlyingVことアンディー・パウエルとテッド・ターナー、ベースにマーティン・ターナー、ドラムににスティーヴ・アプトンという布陣でデビューとなります。70年に発売されたデビューアルバム「WISHBONE ASH(邦題:光なき世界)」ではジャズ・ロックの様なアプローチもあり、ツイン・リードを最前面という感じではありませんでした。

 1972年にバンド史上最も成功したアルバム「ARGUS(邦題:百眼の巨人アーガス)」をリリース。ここからでツイン・リードが前面に押し出されることになります。旋律もより複雑でキャッチーになり、日本でウケる素材は完全に揃った感じでありました。このアルバムは捨て曲が1曲もありませんので、ぜひ聞いてみてください!

 そして、このアルバムの発売記念ツアーこそが、今回紹介するLIVE DATESなのです。収録曲全11曲(CDリマスターで12曲)中、ARGUSからの曲が4曲収録されており、新曲に対して完全なる自信がここに表れているのです。1曲目の "The King Will Come"はアッシュの代表曲で、そのギター・ハーモニーはロック史上に残るメロディーラインであり、1曲目〜3曲目まで全てARGUSからの曲で、正に気が抜けない選曲っす!

 また、“Blowin' Free”という曲が収録されていますが、この曲は自分も良くコピーしました。この時代、ギター譜なんぞは存在いたしませんので、もっぱらカセットテープで耳コピ三昧! テープレコーダーのボタンをガチャガシャやりすぎて、調子が悪くなったのもこの時代のアルアルだと思います(苦笑)

 そしてテッド・ターナーというギタリストが私はとても好きだったのですが、初来日の1975年の時には既に脱退しており、初めて私がWISHBONE ASHを観た1976年公演では、後任であるローリー・ワイズフィールドが弾いておりました。しかし、このギタリストも実にカッコよく、サンバーストのフェンダー・ストラトが非常によく似合っていたのを覚えております。

 2年後の1978年公演も観に行きましたが、この年の公演はライブ録音されている事を後程解ります。翌79年にこの日の収録盤「ライブ・イン・トーキョー」がLPで発売となるのですが、このライブ盤はなんと日本限定盤でありました。そしてこのライブ盤のCDを手に入れるのは30年近く後になってからの事です。何故長い間発売されなかったのか今になっても解りません...。

 80年代に入るとバンドの勢いは次第に衰え、ベースのマーティン・ターナー脱退後は、起死回生を狙ってか、師と仰ぐジョン・ウェットン先生を加入させますがあえなく失敗。何度かのメンバーチェンジを重ね、オリジナルメンバーはギターのアンディー・パウエル1人で現在も活動中です! 近年では2019年に川崎・クラブチッタ公演を観に行ってきました、オリジナルメンバーは1人になれど楽曲は素晴らしく、このライブアルバムに収録してある曲はほぼ演奏しておりました。ホント頼もしい次第ですね。とにかくこの1枚を聞け!!


【こちらももう一度聞け!!】
[THERE’S THE RUB / WISHBONE ASH]