この一枚を聞け![VAN HALEN II / VAN HALEN]



 今回紹介するアルバムは1979年にリリースされたVAN HALENのセカンドアルバム「VAN HALEN II(邦題:伝説の爆撃機)」です。本来のスケジュールでは年が明けた2021年に大物アーティストを連続してご紹介する場で、このアルバムを紹介する予定だったんです。

 2020年10月7日朝、いつも通り朝食を食べながらSNSをチェックしていると、衝撃的なニュースが多く投稿されていました。10月6日にエドワード・ヴァン・ヘイレン死去という、あまりにもショッキングなニュースでありました。世界中のアーティストが多くのメッセージを寄せ、ニュース番組でも取り上げるほどの衝撃ニュースだった事はみなさんもご存じでしょう。

 VAN HALENは1978年に「VAN HALEN(邦題:炎の導火線)」でデビューし、当時日本の音楽誌もこぞって「スーパースター現る」という感じで大注目のアーティストでした。メジャーデビューして半年も経っていないのに初来日公演が実現し、全国9公演も行ったのです。私ももちろん6月19日の新宿厚生年金ホールに行きました。ネットで検索すると何故か6月17日、18日が厚生年金公演になっていますが、私の所持しているチケットの日付けは19日です。

 1曲目は個人的に "Runnin' with the Devil" で始まってくれたらカッコいいなと思っていましたが、"On Fire" で始まったので、度肝を抜かれたのを覚えております。なんせ音がデカく、ホールの壁が振動していたのも良い思い出です。この時エディーがメインに使用していたのが、後にあの有名なギター「フランケンシュタイン」に変化していく、黒と白のカラーリングの1ハムバッカーストラトでした。派手なアーミングをするのにどうして音が狂わないのか不思議に思った程です。

 その衝撃的なライブから1年も経たないうちに発売されたのが本作「VAN HALEN II」です。前作はほぼ一発録りされた作品でしたが、セカンドアルバムは少しオーバーダブされたサウンドに仕上がっています。1曲目はいきなりカヴァー曲でスタートしたのにビックリ!この1曲目の "You're No Good" は1974年に女性ヴォーカリスト、リンダ・ロンシュタットが大ヒットさせた曲でしたが、アレンジは思いっきりハードロックに仕上がっているのが最高です。"Dance The Night Away" や "Somebody Get Me a Doctor" といった名曲もこのアルバム収録ですが、ナントいっても私のお気に入りは "Light Up the Sky" !

 バンドはこのアルバムの発売半年後に再び日本の地を踏むのですが、その時の日本武道館公演のオープニングがこの "Light Up the Sky" だったのです。当時、まだ少年だった私は、こんなにカッコいいオープニングがあるのかと感動したのをしっかり覚えております。しかも武道館でエディの持っていたギターは、当時聞いたことも無いような「シャーベル」というブランドで、黄色と黒ストライプの1ハムストラトでありました。演奏中、エディは頻りにアンプのキャビに蹴りを入れていましたが、全くキャビの壁がビクともしないことにビックリしたのも良い思い出ですネ。何故かこの時代のことはとてもよく覚えているのですヮ(苦笑)

 この後、何度か来日をし、ライブを繰り広げるVAN HALENですが、やはりこの2公演が私の中ではとてつもない経験でありました。エディーのギターに関しては演奏方法の概念を根底から覆すようなテクニックやアプローチ。そしてやはりロックは「1発録り」が歴史を生むんだという確信。そのすべてがこの2枚のアルバムにはしっかり詰まっているのだということです。

 また、近年のアルバムは1作品70分以上収録されているのは当たり前ですが、この2枚のアルバムは共に30分少々の収録時間です。当時はアナログ盤(LP)のみでしたから当然なのですがね。未だにVAN HALENを聞いた事の無い方は特にこの2枚は是非、聞いてみてください!ギターテクニックというものが、年々変化していく上でのキーポイントがこのアルバムにあることが解るはずです。

 そして皆の心の中にしっかりとエディーのギターサウンドを刻み込んでください。私ももう一度このアルバムをじっくりと聞きこむとします。とにかくこの1枚を聞け!!