この一枚を聞け![JOHN MAYALL & BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON / JOHN MAYALL & BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON]


 今回紹介するアルバムはホワイト・ブルースの起点ともいえるJOHN MAYALL率いるBLUES BREAKERSが、1966年に発売した「JOHN MAYALL & BLUES BREAKERS WITH ERIC CLAPTON(邦題:ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・ウィズ・エリック・クラプトン)」です。

 60年代中期の英国音楽シーンは、ほぼTHE BEATLESとROLLING STONESが中心となり、新たな音楽が続々と登場する正に“ROCKの始まり”ともいえるような時代でありました。そんな中、女性に人気の前記のバンドと反対に、玄人受けするホワイト・ブルースを頑なに愛するJOHN MAYALLが作ったバンドこそがJOHN MAYALL & BLUES BREAKERSなのです。

 バンドの転機は1965年。当時、大人気であったヤードバーズがPOP路線を歩むことに嫌気がさしたエリック・クラプトンがJOHN MAYALL & BLUES BREAKERSに加入したのです! 今まで少しアンダーグランドであったバンドがいきなり起死回生に出たと言っても過言でないと思います。言い方は悪いですがアマチュア球団にいきなりイチローが入団するようなものなのでした(苦笑)

 このクラプトンの加入がJOHN MAYALLの名を一躍英国内で有名にしたのは言うまでもありません。当時のバンドは皆、メロディーラインとハーモニーが中心で、ギターに特化したと言うような音楽スタイルではありませんでした。そこにギター演奏がメインともいえるようなブルースが登場したのです。クラプトン自体はこの時今ほどの人気ではありませんでしたが、この作品がきっかけでロンドン市内に「CLAPTON IS GOD」の文字がイタズラ書きされたことは有名は話ですね。

 アルバム1曲目、"All Your Love"では「いきなりその音でスタートですか?」と言いたくなるような斬新な音階からスタート。アルバムの半分は今で言うカバーで作られていますが、そのサウンドは正に時代を作ってしまったと言ってもイイほどのインパクトでありました。インスト2曲を含む12曲で構成されているアルバムですが、どれもブルース特有のシャガレ声のみでなく、洗礼されたクリーンな声も含めれている為、万人に受けたとも私は思います。10曲目に収録されている"Ramblin' On My Mind"ではクラプトンの歌も披露されています。この曲は今でもクラプトンはステージで演奏している曲でもありますね。そしてインストを2曲も収録してしまうところが、この時代としては斬新でした!

 近年、ゲイリー・ムーアなどもこのアルバムの曲を多数演奏しているので、そちらも合わせて聞いてみると大変面白いですね。ここまで話してJOHN MAYALLの話があまり出てこないとお思いでしょうが、実はこの方物凄い才能の持ち主です。

 このバンドから数多くのレジェンド・ミュージシャンを排出しているのです。クラプトンの他に、前期フリードウッド・マックの中心人物であるギタリストのピーター・グリーン、ブライアン・ジョーンズの亡きあと、ストーンズに加入したミック・テイラー、クラプトンとこのバンド脱退後に共にすることになるクリームのベーシスト、ジャック・ブルース! ポールロジャース、ポールコゾフが在籍していたFREEのベーシスト、アンディー・フレイザーやフランク・ザッパやジャーニーのドラマーでもあったエインズレー・ダンバーもなんと、JOHN MAYALL & BLUES BREAKERSの出身なのです。

 これだけ上げるとJOHN MAYALLの眼力たるやタダ者ではないと感じていただけるはずです。どちらかというと“ミュージシャンズ・ミュージシャン”とも言えるような方なんですネ。この後、70年代に入るとホワイト・ブルースは定着した音楽シーンになりますが、その原点的作品はこのアルバムではないかと確信しております。バック・トゥー・ルーツする意味では、持って来いのアルバムですね!
 今一度、よ〜く聞き直してみます。とにかくこの1枚を聞け!

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第3回でこのアルバムをご紹介する予定です!
★2020年10月7日(水)公開予定!★

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