この一枚を聞け![NEW ENGLAND / NEW ENGLAND]


 今回紹介するアルバムは1979年、鳴り物入りでデビューしたアメリカのバンド、NEW ENGLANDのファーストアルバム「NEW ENGLAND(邦題:失われた魂)です。

 このバンドを知っている方はかなりマニアックなロック好きだと思います(笑)。NEW ENGLANDにはこれといって目立ったメンバーがいる訳でもありません。このバンドが何で有名になったかというと、KISSのスポークスマンの一人であるポール・スタンレーが初プロデュースしたバンドであったことです。

 70年代の後半、KISSの人気に陰りが見え始め、バンド内でもいざこざが絶えない時期でもありました。バンド自体で発売したアルバムは低迷を続け、78年にはそれぞれ初のソロアルバムを発売するほど、バンドがうまく行っていなかった時代であったのです。そんな矢先にポールに話が転がり込んできたのがNEW ENGLANDという新人バンドのプロデュースでした。

 日本でこのアルバムがアナログ盤で発売された当時、メンバーではないポール・スタンレーの名前が前面に押し出されていたのが懐かしいです。そりゃそうですよね〜!(笑)。もちろん私もこの作戦にまんまと乗ってしまい、アルバムを買ってしまった一人でもあります。

 しかし、サウンド面はなかなかのモノです! キーボードが前面に出されたPOPな路線で、解り易いメロディーライン、クラシカルな部分も少し出したバラードなど、日本人には非常に受け入れやすいサウンドであったことは間違いありません。

 1曲目の“Hello, Hello, Hello”などは、ポール・スタンレーがプロデュースした感満載のメロディアスなミディアムロック! 昔、カセットテープで自分のベストを作っていた時代、1曲目に良く持っていたくらいのナンバーです。また、3曲目の“P.U.N.K. (Puny Undernouriished Kid)”という曲も最高です。タイトルからパンクの欠片は一つもありませんが、イントロのギターとシンセのメロディーラインが非常に覚えやすく、ついつい口ずさんでしまうようなナンバーです。この辺にもポール・スタンレーの力量が表れているのを感じるのは私だけですかね..。

 そして翌年、セカンドアルバム「EXPLORER SUITE(邦題:果てしなき冒険)」を発売しますが、ファーストルバム程、キャッチャーな曲は無く残念な結果に終わります。81年には3枚目のアルバムを発表しますが、全く持ってパッとせず、翌1932年にバンドは解散するのです。やはりポールの力は絶大と言ったところですかね。

 しかし、その約2年後にRAINBOWを脱退したヴォーカル、グラハム・ボネットが新しいバンド、ALCATRAZZでシーンに戻ってきます。ギタリストは言うもでもなく当時から大騒ぎされていたイングヴェイ・マルムスティーン。しかし私はそれよりもベースとキーボードの名前を見てビックリ!そうです、NEW ENGLANDのベース、ゲイリー・シェアとキーボードであるジミー・ウォルドーの名前がそこにありました。隠れたところでシーンに復帰していたところが嬉しかったですね。当然、84年のALCATRAZZ初来日公演も観ましたが、イングヴェイよりグラハム、ジミー、ゲイリーの3人を良く見ていたのが懐かしい思い出です。

 4年ほど前、クラブチッタさんが再結成したNEW ENGLANDを日本に呼んでくれました。残念ながら観に行けませんでしたが、こういうバンドを呼んでくれるクラブチッタさんは熱いですよね!そんなこと思いながらまたこのアルバム聞くとします。とにかくこの1枚を聞け!!