この一枚を聞け! [AIRPLAY / AIRPLAY]


 今回紹介するアルバムはLAの人気プロデューサー、デビッド・フォスターと人気スタジオ・ミュージシャンのジェイ・グレイドンが作ったユニット、AIRPLAYが1980年に発売したファーストアルバム「AIRPLAY(邦楽:ロマンティック)」です。

 1970年後半に西海岸を中心にした音楽シーンに“AOR(Adult-oriented Rock)”というジャンルが誕生しました。サウンドはメローで大人がオシャレにお酒を飲みながら聞くような音楽と言われ、ボズ・スキャッグスやボビー・コールドウェルといったアーティストが多く誕生しました。

 その共通点にはサポートミュージシャンにTOTOのメンバーを従え、プロデューサーにデビッド・フォスターを起用するパターンが多くみられました。サウンド的にはしっかりとコーラスを重ねて、ギターの音は歪んでいるのだけど空間系が妙に心地よく乗っていて、ドラムがやたらタイトな音になっています(笑)。

 このアルバムはその凄腕プロデューサー、デビッド・フォスターとTOTOのスティーブ・ルカサーの師匠的存在で、スタジオミュージシャンであったギタリスト、ジェイ・グレイドンによって結成されたユニットなのです。

 共にスタジオワークを数多く経験している猛者が集まった作られたアルバムであるため、日本でも発売当時は非常に話題になった作品であります。サポートミュージシャンも半端でなく、ドラムにジェフ・ポーカロ、マーク・ベアード、もう一人のギタリストにはスティーブ・ルカサー、ベースにデビッド・ハンゲイトが参加しています。その他にもチョイ参加でレイ・パーカー・Jrや後にCHICAGOに参加することになる、ビル・チャンプリンなども参加しているのです!

 1曲目の“Stranded”ではドゥービー・ブラザーズばりのコーラスから始り、80年代に流行ったギターサウンドが満載といった感じでジェイ・グレイドンが弾くまくっています。6曲目の“Leave Me Alone”ではスティーブ・ルカサーがリードギターを弾き、グレイドンがナイスなカッティングを、8曲目の“Bix”でのメンバーはほぼTOTOとなっています(笑)。

 AORが世に広まった80年代半ば頃まで、日本でもAIRPLAY的なサウンドが世に蔓延しました。中にはコレってパクリ?と思うような曲も多く作られたのは事実です。また、日本のスタジオ・ミュージシャンの間でも「TOTOっぽいサウンドで」などと言うような表現もあったほどなのです。ただこの路線が日本のPOPSシーンに多大な影響を与えた事も確かであります。それが証拠にジェイ・グレイドンは多くの日本人アーティストのアルバムでギターを弾いています。また、デビッド・フォスターは超大物プロデューサーに出世し、セリーヌ・ディオン、ホイットニー・ヒューストン、マイケル・ジャクソン等多くの大物アーティストと仕事をし、グラミー賞を何度も受賞するスゴイ人になっています(笑)。

 先日、ボズ・スキャッグスを観てきました。その演奏力に衰えは全くなく、キーこそ少し下げていましたが、歌のスキルはさらに素晴らしく感じられました。日本人には親しみやすいメロディーラインに、渋めのギターサウンドが実に大人のロックを感じさせてくれましたね。これぞまさしくAORなんだな〜と感じた次第です。また、今回のツアーにはあの凄腕ベーシスト、ウイリー・ウィークスが参加していたので、非常にうれしかったですゥ〜。

 ここへ来て立て続けにTOTOやボズなどAOR系のアーティストの来日が続きました。今後も頻繁に来てくれる事を願いつつ、このアルバムを更に聞き込むとします、とにかくこの1枚を聞け!