この一枚を聞け! [LIVE! in Europe / RORY GALLAGHER]
今回紹介するアルバムはアイルランドの英雄ギタリスト、ロリー・ギャラガー が1972年にリリースした初のライブアルバム「LIVE! in Europe(邦題:ライブ・イン・ヨーロッパ)」です。
日本では余り馴染みのないギタリストであるロリー・ギャラガー は、60年中期から1970年まで活動していた3ピース・バンド、「TASTE」のギタリストでもありました。エリック・クラプトン率いるCREAMとよく比較されたバンドで、70年代初期に行われた多くのフェスに参加し、中でも「Isle Of Wight 」に出場した際の演奏は素晴らしく、ライブアルバムにもなっている程です。有名な話としてはCREAMの解散コンサートの前座を務めたのは、何を隠そうTASTEなのであります。
しかし、この頃のバンドは皆短命で、TASTEもご多分に洩れず、アルバム発売後はほぼ2年で解散しています(苦笑)。TASTE解散後、ギャラガーはソロで活動していくことを決意するのです。ブルースギターを弾かせたら、当時活躍していたギタリストの中でもその泥臭さはトップクラスであったため、有名になるのにはさほど時間はかかりませんでした。
1971年にソロとして再デビューを図り、デビューアルバムも含めこの年にナント2枚のオリジナルアルバムを発売します。その前評判はTASTEで実証済みですから、あっという間にイギリスではTOPアーティストへの仲間入りとなるのです。この時代はフラワー・ムーブメントに陰りが見え、世は正にハードロック時代へ突入という感じでありました。しかし、ブルースロックを頑なにゴリ押しするギャラガー は実に男らしく思えます(笑)
1曲目から6曲目までほぼスリーコードですから初めての方でも、全く馴染めるというアルバムに仕上がっています。1曲目の“Messin' With The Kid”から、そのシャガれた声は正にブルースを物語り、ストラトのサウンドが実に心地良いのです。また、この時代ならではですが片方のチャンネルからしか、ギターの音が聞こえてきません。あえてステレオっぽくしているのだと思いますが、この時代あるあるです。
アコースティックも多用するギャラガーは4曲目の“Pistol Slapper Blues”でアコギを生収録しています。この時代でエレクトリックのライブで、アコースティックを入れ込むと言うのは珍しいことでした。実にラグタイムなアコギサンドを披露しています。他にも“Going To My Home Town”では、マンドリンも弾きまくっているのです。なかなかファンキーですョ!!
ギャラガーの所有しているギターもまたレジェンダリーなストラトであります。ジャケットにも写っている1961年製のストラトキャスターですが、塗装の剥げ方が尋常ではありません! 経年変化とも言われていますが、60年後期にこのギターは一度盗難にあっています。その後見つかったのですが、屋外に放置されていたために、変化が激しくなってしまったという説もあるのです。いずれにせよ、凄いギターであることは間違いないですね。
殆どストラトしか弾かないギャラガーですが、一度だけ日本製のギターを手にしたことがあります。そのメーカーはGUYATONEで、70年代後期にシグネチャーモデルとしても発売されたことがありました。今中古で見つけたら、ゼッタイに買いですね!!
既にロリー・ギャラガー もこの世には居ませんが、音だけは何時でもアグレッシブで新しく聞こえるのは何故なんでしょうね?! 今一度しっかり聞きこむとします。とにかくこの1枚を聞け!!
★筆者が所有している「LIVE! in Europe」は発売当時の7曲入りで、現在はボーナストラックで曲数が増え、9曲入りになっています。