この一枚を聞け! [PHOTOS OF GHOSTS / PFM]
今回ご紹介するアルバムはイタリアを代表するプログレッシブロックバンド、PFMが1973年に発売した通算4枚目のアルバム「PHOTOS OF GHOSTS(邦題:幻の映像)」です。
プログレッシブ・ロックは日本でもかなり浸透した方ではありますが、イタリアのプログレバンドはその日本でもまだまだマイナーな部類に入ります。そのマイナーな中でも最もメジャーである(失礼)イタリアン・プログレッシブロックバンドこそがこのPFMであると思います。PFMの正式名称はプレミアータ・フォルネーリア・マルコーニと言います。未だに私も覚えられません(笑)商業的に呼びやすいという事からPFMになったと言われています。
PFMのデビューは1969年。もちろんイタリアでデビューであります。しかし、この時代あくまでも音楽流行の始まりはイギリスであり、アメリカでありました。そこで何故このバンドが何故世に出てきたかというと、70年代前半になるとイギリスではプログレッシブロックが全盛になって来ます。このアルバムが発売された1972年、73年はYESの「CLOSE TO THE EDGE」、GENESISの「FOXTROT」、KING CRIMSONの「LARKS’ TONGUES IN ASPIC」、ELPの「TRILOGY」、そしてPINK FLOYDの「THE DARK SIDE OF THE MOON」等が発売された正にプログレ名盤発売年でもあります。その多くの有名プログレバンドがイタリアをツアーして廻った時、PFMが前座バンドとしてライブを行っていたことが、このバンドを表舞台に出すきっかけになったのです。
最もターニングポイントになったのは、1973年に人気絶頂であったELPがイタリアをツアーした時、前座であったこのバンドを見つけ、ELPのレーベルである「マンティコア・レーベル」に招き入れたのがそもそもの始まりなのです。その時にイギリスでも受け入れられるようにと当時発売していたセカンドアルバム「PER UN AMICO(邦題:友よ)」をベースとし、ほぼ英語で録音し直した物こそがこのアルバム「PHOTOS OF GHOSTS(邦題:幻の映像)」なのです。前置きが長くてスミマセン。
クラシカルであって変拍子、しかも曲が長くてドラマティック。私の好きな全ての要素が盛り込まれている曲構成であります。1曲目の“River Of Live”は美しいフルートのイントロで始まり、バロック調の流れからしばらくするとドラマチックにロックぽい流れに変わっていくと言うお決まりフレーズであります。物悲しいヴォーカルも勿論盛り込まれています(笑) 当然でありますがこの当時、時代の最先端を行っていたシンセ、MOOGの音もしっかり2曲目の“Celebration”で聞くことが出来ます。
私もPFMのアルバムを4枚ほど所有してるのですが、バンドメンバーの名前を全く覚えることが出来ません。もちろん、イタリア名であることもあるのですが、このバンドのメンバー入れ代わりは、「プログレあるある」をそのまま実行しているかの如く、激しい入れ代わりなのです。しかもその殆どがイタリア系の名前なんで...(苦笑)
そしてこのバンド、実に日本に何度か来日しています! 1975年に初来日して以来、30年ほど来日がありませんでしたが、2000年に入るといつもお世話になっているクラブチッタさんが良くこのバンドを来日させてくれます。2011年に行われた「PROGRESSIVE ROCK FES 2011」での来日は素晴らしかった。やはりプログレバンドはクラブチッタさんですね。先日、イギリスの老舗プログレバンド、CAMELのライブを観てきました。本当に素晴らしかった! ギターサウンドのみならず、楽曲やセットリスト、全てにおいて往年のプログレ・ファンを喜ばせる演出になっていましたね。プログレはまだまだ飛躍できる音楽と確信しました。そんなこと思いつつこのアルバムをもう一度聞くとします。とにかくこの1枚を聞け!!